第3話

 会わなくてもいい口実を世間の某感染症のおかげでできたし(正直今も怪しいところである)、今やネットでビデオで会わなくてもいいと言う文明。

 だが義父母はそれじゃ気が済まなかったようだ。

 よく考えたら娘も生まれてから義父母に数回しか会わせてない。あっちもあっちで親戚の法事とか地元の祭りとかそういうので呼び寄せたりもしたがそれも全部某感染症の流行のおかげで法事も祭りもなくなった。よく考えれば出産後と里帰りから今の家に戻るまでの間か。毎日のようにうちの実家に義父母たちが来てて母がピリピリしてたの覚えてる。のちに母の言動が気に食わん、うちをよそ者扱いにして、とか義父母が言ってたと剛史から聞いた。いや、アポ無しで毎日居座られてたからね。


 出産してこっちに戻ってきてからは何度も義父母は届け物を送ってきた。おもちゃやお菓子や服や靴。私が選んで買ったのもあるけど大量に送ってくるものだから……。今穂乃果が着ている着ぐるみの服も。一応着させてれば喜ぶだろう。

 夫には使ってやれよって言われたけど、たしあにそうだけど。選んで着せるのがどれだけ楽しみなことかわかってないのかな。

 ほら前科あるじゃないか。家。家具家電。これからの生活のことは全て私たちの思い通りにしてほしい。


 剛史は仕事で忙しいとかまけてそんなのどうでもいいじゃん、もらったもんだからーと。それだけか。ちなみに彼は服とかおもちゃとか買い与えてない。私が選んでいいよ、と。それよりもまず義父母からもらったものでどうにかならないのかだなんて。

 確かに私は剛士から生活費もらっていてあーだか話題ある身分ではないけども。もらぬたものではどーにかならないか、それってなんなの。


 そんな剛史はどうでもいいが、ようやく子供を授かったんだから楽しみを奪わないでほしい。頂けるのはありがたいけどさ。


 そうか、そんな義父母から離れて3年以上になるのか。

 

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