思わぬ収穫

 中は広かった。

 パーティーでもするかのような豪華な飾りに並べられた高級料理、とても支部長だけの感じはしなかった。


「いつもより大きいな……」


 驚いたような顔で、男は会場を見ている。


「なんか、支部長だけでなく幹部が来るとかで広く貸し切ったんだってよ」

 

 なんという偶然というか幸運だろう。

 一気に探す手間が省けたというものだ。

 

「お集りの皆さま、ここに今月の分をお納めください……」


 こいつ、どこかで……。

 

 思い出せないが、その人物に少しだが見覚えがあった。

 そしてお金を収めると、それに箱をして運び出す。


「はい、今月もお疲れ様でした……では、料理をお楽しみください」


 そう言って料理を食べる盗賊の頭たち。


「今日のはなんか、豪華だな」

「なんか、幹部が来るとかで豪華にしてるらしいぜ」

「なら、たんと食べないとな」


 笑いながら食事を食べている。

 人を売り買いして私腹を肥やしていると考えると、今すぐにでも犬のクソを食わしてやりたいくらいだ。


 しばらくして頭たちは食事を食べ終える。


「幹部はまだ来ねえのかな?」

「もうそろそろじゃないか?」


 そう話していると、先程の男が輸送から戻ってきた。

 時間を考えるに、この町に拠点を置いているとみて間違いなさそうだ。


「皆さま、本日はお疲れさまでした……本日は皆さまにご報告があり、幹部のゲノバ様がいらしております」


 複数の組織の幹部クラスが本当に来るなんて、思いもしなかった。



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