危剣

「当たったらどうする」

「一旦、真っ二つになっとけばいいと思うんだ」

 

 物騒なこと言うなよ。

 こいつの場合、やるときに容赦がない。

 

「どこが癒しの剣だ」

「癒してほしければ切らせろ~!!」

「どんな理屈だ!!」

 

 投影で剣を作り、彼女の剣を受け流す。

 癒しの剣はデメリットもある。

 それは魔力で身体の回復力を促進する剣の為、受け続けると疲労感で身体が重くなるのだ。

 とはいっても彼女はそこそこ剣技なので、相手するのは少し面倒だ。

 

「やめろ」

「い~や、やめないね」

 

 こうなったら……。

 剣を受け流すと、彼女は地面に転げそうになる。

 女の子にこういうことはしたくないが、仕方ない。

 そのまま足元を払い、彼女は宙に浮く。

 普通なら倒れるだろうが、彼女は剣を持っていない手で反転して体勢を立て直す。

 まぁ、それも予想通りなんだけど。

 

「捕まえた」


 彼女の権能は剣を出している場合は剣に権限が渡っているため、腕を握っても大丈夫なのだ。

 彼女が権能を彼女自身に移す前に蹴りを入れる。

 移すのに集中していたせいか、彼女の反応が遅れて綺麗な蹴りが入る。

 僕はポケットから手袋を取り出す。

 この手袋は魔力を遮断する魔物の皮から採取した手袋だ。

 これに触れたものは魔力を相手に流す魔法は、一切使うことが出来ない。

 そして彼女が転がっている方を見た。

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