敵意

「もう敵じゃないだろう」

「それは、まぁ……」


 何かを言うのを戸惑っている。


「と、とにかく!! 本当の彼女は天真爛漫な可愛い子だから男女問わず人気が高いのだ」


 天真爛漫?

 仏頂面の間違いじゃないのか?

 いや、でも彼女は子供たちに対する態度は優しさ溢れる感じだった。


 僕がカノンを見ながらそう思っていると目が合う。

 

「何をじろじろ見てるんですか、ケダモノ


 開口一番にそういう。

 本当に失礼な奴だ。


「誰が獣だ」

「獣を獣と言って何が悪いんですか?」


 僕、何かしたか?

 言っちゃあなんだが、あってそんなに間もない。

 一度戦った時と封印を解いた時、子供たちに案内した時しか会話をしていない。

 あぁ、戦闘の事か……。


「昔は悪かったな、傷は大丈夫か?」


 戦闘であっさり倒し、尋問していたのでその件だろう。


「悪いも何も勝った者の当然の事ですから」


 その言い方と獣というあだ名は少し誤解を生みそうだった。

 実際、横のウルスラが身の危険を感じて僕の方から離れる。

 

「言い方に気をつけろ、少し尋問しただけだろう」

 

 正直、やったのは主に戦闘不能の彼女を牢に閉じ込め、話を聞いただけだが……。


「ふん」


 そう言って彼女は不機嫌そうに離れていく。

 本当に、どうしてこんなに嫌われているのか……。


 

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