エレナVSレイン


 うん、またか……。


「何を怒ってんだよ」

「怒ってないわよ! 嫌だから嫌って言ってんの!!」

「なぁ、頼むよ……お前の力が必要なんだ」

「なんで私が貴方の為に戦わないといけないのよ!? ラナークかベルに頼めばいいじゃない!」


 ラナークはどちらかというと聖剣など威力の高い攻撃に適しているし、ベルは中距離戦に適している


「お前じゃなきゃ駄目なんだ、彼女相手はお前が一番適任だ」

「知らないわよ! 私は嫌!!」


 本当にこの子は……。

 この感じだと今日は無理そうだな……。


「わかった……必要な時は頼むぞ、本当に……」


 そう言ってボックスを取り出すが、一向にレインは箱の中に戻らない。


「どうした? 戻らないのか?」

「………何でもない!」

 

 レインはボックスに戻る。

 ボックスに戻すとエレナに向き直る。 

 彼女もすっかりと息を整えてこちらを見ている。


「えっと……」

「なんか、個性的な剣ね」

「あ、うん全員がこうじゃないんだけど、こいつは一番あまのじゃくというか……」


 言葉に戸惑っていると、どうでもよくなったのか剣をしまい歩き出す。


「なんかどうでもよくなっちゃった……ねぇ、私にも子供達のいる所案内してよ」

「あ、あぁ……」


 エレナの言葉に戸惑いながらも、僕は彼女と歩き出す。

 

「おい、くっつくな……」

「ノウェムとはくっつくのに?」


 腕を組むエレナに戸惑いながら言うと、むぅっと頬を膨らませ言い放つ。

 

「あれは介護だ、そんなんじゃない」

「ふ~ん、鼻の下伸びてたのに?」

「の、伸びてない!」

「ふ~ん」


 エレナの目が再び光を失う、怖いからやめてもらえませんかね?


「とりあえず、この先だからいく……」

 

 そう言うと、左腕に柔らかい感触がした。

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