エレナの力

「落ち着けエレナ」

「……抜かないと死ぬわよ?」

「だから戦う必要……」


 目の前にエレナが現れ、剣を振り下ろす。

 あらかじめ魔法防壁を発動しておいてよかった。


「危ないじゃないか」

「君なら発動していいると思ったわ」

「だからって、いきなり来るなよ」

「私は抜けといったはずよ」


 正直、改めてエレナとの実力の差が見て取れる。

 恐らく剣ではあの頃より実力が上がった僕でも、敵わない。


「落ち着け、僕じゃ君には勝てないのは知ってるだろう!!」

「うるさ~い!」


 素早く剣を切りこんでくる。

 正確に剣を当ててきているのか、一転にひびが入ってくる。

 そこに魔力を集中させる。


「流石の防御力ね、なら!」


 複数の場所からひびが入る。

 速すぎて修復が……。

 ひびが酷くなり、壊れるのは時間の問題だ。

 

 二倍加速≪ダブルアクセル≫。


 思考、身体能力全てが速くなる魔法だ。

 二倍にしてこの速さ、流石エレナだ。

 魔力を彼女の打ち込む軌道の場所に魔力を集中させて修復していく。

 二倍にしてでさえ、この速さ剣で勝てるわけがない。


 攻撃速度は変わらないので、彼女との戦力差は縮まることはない。

 修復と同時に術式を頭で展開する。

 思考は二倍なので、まだ余裕があるので魔法をもう一つ展開する。


 足を軽く踏むと、地面が盛り上がり彼女を襲う。

 彼女は攻撃に気が付いたのか、向かってくる土を切り刻む。 

 隙が生まれた。

 右手をかざす。

 ≪≪縛鎖≫≫。

 手から出た大量の鎖が彼女を襲う。

 エレナはそれを難なく切り刻む。

 

 速いな……。

 

 そう思っていると、エレナは一旦下がる。

 それと同時に僕も魔法を解除する。

 少し疲労感が襲う。

 エレナも息が上がっている。


「もうやめにしないか?」


 

 

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