37 勇者の情報

「新しい勇者か……」

「そう~、なんかね~聖剣持ってる奴はそれほどなんだけど~、仲間に一人ヤバそうなのが居てね~」

 

 聞くところによると傭兵上がりの見た目の男だという。

 傭兵か……。

 傭兵なら少しは知り合いがいるが、そこまで強い奴なら僕は知ってるはずだ。


「それで~、魔族の過激派が先走って行っちゃってね~」


 確か、魔族にも魔王軍には穏健派と過激派がいるんだっけか?

 現魔王のウルスラは穏健派に属しているので、過激派がそれが面白くなくて勝手に先走るのだろう。

 

「それ、大丈夫なのか?」


 過激派が勝手にしたとはいえ、仲間を見捨てたとなればウルスラの管理不足で内乱の火種になりかねない。

 

「多分、大丈夫じゃないかな~。 勝手に行っただけだし~、それに私はあいつらが死んでくた方が嬉しいよ」


 想いのこもった声でそういうノウェム。

 過激派は人族、特に女性を一番下に見る傾向があるそうだ。

 まぁ、こいつに手を出した瞬間、返り討ちなのは目に見えてるが……。


「大変だったな」

「全くだよ~」

 

 ノウェムは向かい側の席から僕の横の席に座る。

 

「なんで横?」

「ん~、なんとなく~?」


 そういうと、僕らが座ってるのは椅子じゃない席なので、彼女は僕の膝に頭をのせる。


「おい」

「なにかな~?」

「なぜ寝転ぶ」

「私~、と~っても~眠いの~」

「枕ならそこにあるぞ」

「そうだね~、いい枕だね~」


 僕はそこの枕を差したんだが?


 ノウェムは口に手を当てて欠伸をしてスヤスヤ眠る。


「寝るな!」


 駄目だ、もう完全に眠りに入っている。 

 一応僕、男なんだけどな~。

 そう思いながら目の前の花湯を飲んだ。

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