14 遅すぎる実感
「対称を捕捉せよ……
声と共にウルスラの手を離し、離れる。
ウルスラに向かって複数の鎖が彼女に向かって襲い掛かる。
両手両足、腰に鎖が絡まると彼女は吊るされた。
エレナの得意な束縛魔法だ。
彼女の魔法は僕と最後にあった日より数段強力になっており、恐らく並大抵の魔法士では破ることは不可能だろう。
「ふん!」
ウルスラは身体に魔力を込めて力を入れると、縛鎖は甲高い音を立てて無理やり引きちぎった。
「この程度の力で魔王を捕らえようなどと……ふぎゃか!?」
どうじゃ!っと余裕に言おうとしたウルスラが足から地面に沈んでいき、体制を崩して変な声で尻餅をつく。
「帰るわよ、ウルスラ」
そのまま地面に埋まり、顔だけ出たウルスラにエレナは屈んで言う。
「どうしてここがわかったんだ~!」
「どうしてって、その服私が作った物だから……」
何かを察したように「あっ……」というとエレナは僕の方を見る。
「久しぶり、レウ、あの時以来だね」
「あぁ、久しぶりっていうか今それ言う?」
魔王ウルスラが地面に埋められたり、家が半壊したりした後に言う言葉では絶対ない。
「にゃはは、それもそうだね……さぁってウルスラ?」
エレナは笑顔で僕にそう言うと、再びウルスラに視線を移す。
「何で連れ戻しに来たか分かるよね?」
「………」
「はぁ、ごめんねレウ……家とかその他諸々」
「本当だよ、いきなり死んだ幼馴染と感動の再会したと思ったら殺伐として、挙句家まで壊して」
「にゃはは、面目ない……」
間違いない、目の前にいるのは間違いなく幼馴染のエレナだ。
理由は様々あるが、彼女の一番の特徴として僕の前で笑うとき、「にゃはは……」
っと笑うからだ。
でも、大切な人が生きててくれてよかった。
心の底からそう思った
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