5 違和感
「本当か!?」
「あぁ、国の防衛強化大臣じゃからな……」
「そうかそうか、生きていたか……ん?」
今何て言った?
防衛大臣?
「ちょっと待て、防衛大臣ってもしやクレロール大森林の結界ってもしかして……」
彼女が生きているかもと思っていた理由はクレロール大森林で彼女に似た結界だったからだ。
「あぁ、あの時の結界はノウェムが張ったものじゃ」
「自分から?」
「あぁ、「きっとここで張っていれば、レウルが来るだろうからね~」って言ってたからの~」
その言い方で納得した。
ノウェムなら言いそうなことだ。
彼女の魔法を国で壊せるのは僕だけだったからだ。
道理で簡単に壊せなかったわけだ。
「それで、貴様の目的はなんじゃ?」
「その前に、その喋り方辞めない? 似合わないよ」
先程からウルスラに対する違和感が半端じゃない……。
僕がそう言うと、恥ずかしかったのか顔が真っ紅に染まる。
四天王もカノンを含め、「そこは突っ込むなよ」と言いたそうな苦笑いを浮かべる。
「それにお前、戦ってるときそんな喋りじゃなかったろ」
魔王は顔を俯かせる。
「………ぃ……」
「ん?」
よく聞こえなかったので耳をウルスラに近づけると僕をキッっと睨みつける。
「うるさあぁぁぁあい!」
火の魔法を放ってくる。
「凍れ」
火の魔法が一瞬で氷漬けになる。
「くっ!」
「おいおい、危ないじゃないか」
「うるさい!」
火の魔法を放ってくる。
先程の怒りに任せて放った魔法ではないので密度がある。
「危ねぇな、殺す気か?」
「なら殺してやる! 白翼!」
そう言うと、魔王には不釣り合いの白く輝く翼が現れた。
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