デザイナーメモ この世界の自衛隊

 南北統一後の自衛隊の編成だが、北日本政府の崩壊と統一過程において北日本軍(北日本人民解放軍)の処遇が問題となった。

 解体するには規模が大きすぎたのだが、湾岸戦争に自衛隊と共に派兵された事でその忠誠が確かめられて、少しずつ同化させる形でこの解体を行うことになった。

 バブル崩壊前の空前の人不足から自衛隊は彼らを限りなく吸収し同化に貢献したが、南北格差と文化的違いによる不祥事も頻発した事を記しておく。

 樺太に展開する自衛隊は五個師団で、四個師団は旧北日本軍編成の歩兵師団、一個師団は北海道からやってくる機械化師団で、北海道には替わりに北日本政府の二個歩兵師団が配備される。

 北海道および千島列島に展開する師団は七個師団で内二個が旧北日本軍政府の歩兵師団、残り五個師団の内二個師団が機械化師団である。

 戦車は北日本軍が保有していた800両のT-72を発展途上国に流して処分しているが、北日本軍編成師団では今でも使用されている。

 また本土師団は90式戦車500両と74式戦車800両を保有しており、T-72と74式戦車を処分した上で90式戦車に置き換える計画が進んでいるが、予算面からあまり進んでいない。

 陸上自衛隊全体で見ると全三十個師団であり、その内五個師団が即応展開部隊に指定されて満州における国共内戦が発生した場合に展開する事になっている。

 これはベトナム派兵の経験からで、これらの展開の経験が北日本政府崩壊時の樺太派兵や湾岸戦争において効果を発揮した。

 日米同盟が締結されており本土に米軍基地が存在しているが、その規模は小さい。

 これは、大陸の橋頭堡となっている満州に米軍の基地および大陸軍の主力が展開しているからで、大連及び旅順から佐世保への連絡線維持の為に佐世保に大規模海軍基地が作られている。

 一方で、突出部となっている満州防衛の兵力不足に頭を抱えていた西側諸国は解体された北日本軍将兵に目を付け、PMCを介した実質的な外人部隊として彼らを雇用した。

 その規模は数万と言われており、満州防衛の一角を担っていると言っていいだろう。


 海上自衛隊も陸上自衛隊と同じくベトナム派兵を経験しており、本土近海防衛の他に二個機動部隊を編成できる艦艇数を保有し、佐世保を母港とする米国機動部隊とローテーションを組んで西太平洋の安全を守っている。

 現在の空母は四隻で『しょうかく』『ずいかく』『そうりゅう』『ひりゅう』の四隻で各空母の搭載機数はおよそ60機程度。

 基本二隻でペアを組み、これにイージス艦と護衛艦複数に潜水艦を付けて機動部隊を編成する。


 航空自衛隊もベトナム派兵を通じて組織を拡張させており、12個の航空団に北日本軍から接収した戦略ロケット軍がある。

 航空機はいち早く東側の兵器を処分して西側で統一しており、国産航空機と米国ライセンス生産機によって日本の空を守っている。

 戦略ロケット軍は樺太のサイロにICBM8発、移動式IRBMが50発配備されていたが、米国との協定でこれらの廃棄を決定。

 替わりに米国の核の傘に入る事になっているが、自主国防派を中心に異論が出ており、政治問題化している。


 特殊部隊および諜報組織だが、対北日本政府工作員の為にかなりの規模で拡充されており、安保運動の背後で暗躍していた彼らの摘発に貢献した。

 全体の指揮を取るのが内閣府諜報局でその下に幾つかの秘密工作組織を抱えているがその全容は機密に包まれている。

 他にも、警察内部に作られている公安の外事警察や、自衛隊の秘密工作組織等が名前を知られているが同じく、機密の壁に守られている。


 統一後に解体された北日本政府の特殊部隊および工作組織だが、首脳部の多くは大陸の社会主義国家に亡命し、末端は発展途上国でビジネスを行う総合商社が護衛および現地工作員として吸収。

 警備部門に多くの人材を提供している。


 国内が北日本人の融和政策を取らざるを得ない状況で、それらの摩擦を法的に引き受けるのが警察組織であり、自治体警察と機動隊の他に、自治体をまたぐ犯罪に対処する広域警察(国民は時代劇から彼らを『火盗改め』と呼んでいる)と対テロ組織対処に特化した広域機動隊が国家公安委員会直下に配備されている。

 これら二つの組織は帝都警の蜂起の反省から作られ、その後日本で起こったテロ事件にてその真価を発揮。

 国内治安は二級市民問題とバブル崩壊による経済問題で悪化傾向にあったが、近年はそれに歯止めが掛かりつつある。 




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ノリは火葬戦記風。本気でこんな編成だったら財政破綻するだろうに……


 雰囲気は『征途』世界に『機動警察パトレイバー 旧作ビデオ版』世界を足した感じ。

 「『パトレイバー』世界は何で自衛隊がクーデター起こしているんだ?」と首を捻りながら作ってみた。

 作ってみて何だが、九条バリアの存在を納得したくなるぐらい現実が平穏そうに見えるのがまた……


 安保闘争と帝都警の国内での闘争やっている最中に、自衛隊はベトナムに派兵。

 ベトナムでの敗北と安保闘争の沈静化で、米国への猜疑心と自主防衛論争が湧いて帝都警の蜂起に。

 その後レーガン政権時のスターウォーズ計画に便乗して軍拡に走って、東側に属する北日本を財政破綻に追い込み統一という感じなのだろう。


 なお、『征途』だとこの北日本派兵を指示したのは名前はぼかしているけど細川元総理の可能性が高かったりする。

 野党政権時に現場が暴走し、何も考えずに北樺太まで進撃指示を出したとかありそうで怖い。

 で、北日本統一コストの巨大さと統治に寄せ集めの野党連立政権が崩壊って感じなんだろうな。

 社会主義勢力が立憲政友党と組んだのは、間違いなく北とのコネがらみ。

 

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