第26話 『空飛ぶ車』の製作

ヒューイの『神龍剣』とドールの【飛翔魔法】と水中での”マナ”による推進力などの検証も無事にできて、”幻惑のダンジョン”の強力な魔物を倒して戻って来たジンたちは今日は1日のんびり過ごすことにした。


イリーナ、イリアは朝から大入りの客を捌いて忙しそうだ。


イザベラは作業場で岩竜の甲羅を粉にしていた。


「イザベラ何作っているんだ?」


「あっ、ジンおかえり。今岩竜の甲羅を粉末にして、耐物理用のマントを作ろうと思って・・・」


「ジンが作ってくれた『マジックローブ』より耐物理に特化させて安く売ろうと思ってね」とイザベラ。


「イザベラ、”幻惑のダンジョン”のお宝で『魔力鑑定水晶玉』を手に入れたのだけど、店に置いて自分がどの程度どの魔力特性があるか知りたい人に安く鑑定してあげたらどうかな?」


「以前、キースで俺が初めてイザベラと会った時、魔法特性を調べて貰ったじゃない?それよりももっと詳しく出るアイテムだよ」


「イリーナさんが【鑑定】のスキル持ちだとは知っているけど、あまり人前で【鑑定】のスキルを見せない方がいいでしょ?」とジンが言って『魔力鑑定水晶玉』をイザベラに渡した。


「そうね、もう直ぐでお母さんたちもお昼でドールちゃんと交代するから聞いてみるわ」


「それじゃ、俺が昼食を用意するわ!」とジンがキッチンに向かった。


ジンはきょうはカツ丼を出そうと、どんぶりを6個用意して『美食の皿』に2個ずつ乗せてカツ丼を出して行く。


そのあと、味噌汁として豚汁にしてお椀6個に入れて、イリーナたちを待った。


お新香を白菜の浅漬けにしてそれぞれ6個用意して、ヒューイが2人分だ。


イリーナ、イリア、イザベラとヒューイとジンが座って昼食を食べてる間はドールがお店番をする。


「今日のお昼は俺の故郷の食事でカツ丼というのだけど、どうかな?」


「とても美味しいわ!ジンが作る食事は私たちが考えている食べ物と全く違うのでいつも興味を持って、楽しくいただいているわ」とイリーナが言う。


「お母様、ジンが”幻惑のダンジョン”を踏破して『魔力鑑定水晶玉』をお店に置いて自分が何の魔力に特性があるか、魔力量はどの程度かと知りたい人に安く測定して上げたらどうかと、言うのだけど・・・」


「そうね、私が【鑑定】してしまうとお金も取りにくいし、あまり【鑑定】のスキル持ちと言うことを知られるのも良くないからそうしましょう!」


「道路に、『貴方の魔法特性と魔力をお調べします』と告知の看板を置いて銅貨40枚あたりで調べてあげたらどう?」とイリアが言った。


「そうね、『魔力鑑定水晶玉』って、本当は凄く高価なはずなんだけど、銅貨40枚と安くして沢山の人が来て、ついでに魔道具も買って行けば良いわね!」とイザベラも話に乗った。


「ジン君、今度店が一段落してもう少し軌道に乗ったら私も一緒にクエストを受けに連れてって」とイリーナが言う。


「イリーナさんが冒険者をするの?」


「あら、こう見えても昔はAランクの冒険者だったのよ!まだカードも時効になっていないからAランクのままだわ。少し魔法を発動させて、魔法の感覚を鈍らせたくないのよ。私の後にはイリアも少し魔法を使って昔見たく使えるように戻した方が店のためにもいいわ」


「そうね、私も少し魔法をほとんど使わなくなって5年近く経つものね、今じゃ生活魔法ぐらいしか使っていないから【ファイアボール】くらい直ぐに出せないとね」


「そうですね、それじゃ、店が一段落したら順番に冒険者ギルドのクエストを受けに行きましょう」


「さぁ、イリア後一踏ん張り頑張りましょ」と言ってイリーナが店に戻って行った。


ジンはきょうのダンジョンでドールがシャーマンの幻惑に惑わされたりしたので彼女に耐魔法、耐幻惑、耐幻覚のスキルを【エンチャント】してあげた。


更に、AIの変数を少し変えて、相手が魔法を発動する瞬間を瞬時に解析して、無効化する魔法をドールが発動できるように【エンチャント】してあげた。


夕食迄には時間が有るので、ジンは『空飛ぶ車』の設計図を出して、造って見ようと思い立ち図面と睨めっこ始めた!


2時間半程掛かって四輪駆動車の『空飛ぶ車』が完成した。


図面と全く同じでは無く、ジンなりに、改良点を何ヶ所か魔法を駆使して完成させた。


タイヤもジンの前世の車と同じようにして、地上を走るときの魔石で、魔力の流れを分散させることによって、四輪駆動にし、振動を吸収するサスペンションも装着した。


また乗れる人数を10人乗りにし、外見上は6人乗りで、中に【亜空間魔法】で広くして、風呂とトイレを設け、普段はベッドを6個置けるようにした。


更にスピードは地上で最高時速160キロ、上空で時速1000キロ、高度10000メートルと大幅に性能をアップした。


その為、使用する魔石をランク8が二つ、ランク6をひとつにして魔石ランクを上げた。


ジンとヒューイとドールが乗り込んで垂直上昇してから水平飛行して上空10000メートルを飛行してみた。


運転席でハンドルの直ぐ前の切り替えスイッチで地上モードと飛行モードの切り替えをし、上昇高度は左のスライドレバー、速度は右のスライドレバー、地上モードにした時は、右スライドレバーの赤い線より手前に引けばバック走行になる。


ジンの前世の飛行機より速度も高度もほんの少し早く、そして高く飛べるように改良した。


3人での試運転で無事に王都のはるか上空を飛べて移動できる。


「私が飛ぶ高さの数倍も高く飛べるのね!」とヒューイが驚いている。


王都からレンブラント王国を一周して無事王都に戻って来て、”魔女の道楽”の裏に静かに着地した。


ジンとしては『フジ』に引っ張って貰う馬車でのんびり旅をしながら冒険をする方が自分には合っていると考え、しばらくは【次元ストレージ】にしまって置くことにした。


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