レプリカレア
「インチキだあああ!!こんなもの、ダンジョンアイテムじゃない!!」
そう叫びながら、上腕に装着された鋼の手甲鉤爪を振り回す大男。
どうやら、オークションで購入したダンジョンアイテムを装備した所、それがダンジョンアイテムではない事を悟ったらしい。
大声を上げて、オークションの役人を攻撃しようとする大男に、五十五らは走り出す。
「今回は早くバレたな、あれが『レプリカレア』だって」
五十五は目隠しをした男に言うと、男は紫色の布を剥ぐ。
銃身の長い、マスケット銃を模したダンジョンアイテム…いや、それは『レプリカレア』と呼ばれる代物だった。
「まあ、使用し続ければ、分かるものだしねぇ」
目隠しの男はそう言って、マスケット銃を構える。
ダンジョンアイテムは、生物と契約する事で、物質の破損が起きても生物の生命を代替に修復が可能である。
しかし、ダンジョンアイテムより制作された偽造品『レプリカレア』は、使用者を選ばないと言う利点がある反面、消耗品と言う欠点が存在する。
ダンジョンアイテムより生成される『レプリカレア』は、スラム街での集金方法として、弱者に与えられる事が多い。
あるいは、スラム街に生息するギャングたちが、自らを武装する為に、下っ端に『レプリカレア』を与える事が多かった。
「いつも通りのフォーメーションで、お願いしますわ」
目隠しの男はマスケット銃を構える。
五十五は、目隠しの男を一瞥すると、大男の襲撃から逃れようと逃げ出す民衆の隙間を掻い潜る。
そして、広くなった場所で、五十五は大男と出会う。
「ダンジョンアイテム、出せぇえ!!出来なきゃ、金を、返せえええ!!」
叫び、暴れる大男に、五十五は冷静に対処する。
五十五は靴の爪先で地面を蹴ると、靴から黒い車輪が出て来る。
車輪を出した状態で、五十五は地面を強く踏み締める。
それに合わせる様に、目隠しの男も、自らの『レプリカレア』の名を呼ぶ。
「『
「『
車輪から放出される紫電。
レプリカレアに内蔵されたモーターギアが回転すると共に、五十五は疾走する。
目隠しをした男は、目も見えないのに、マスケット銃を構えて、引き金を引いた。
弾丸が飛ぶと、本来、直線状から落ちる様に、弧を描き着弾する弾丸は、四方八方へとスーパーボールが反射する様に、弾丸が飛び荒れる。
靴に蓄積される電気を、大男に向けて足を振る。
淡い青色の線が大男の心臓に向けて走ると、今度は、紫色の光となって、大男の心臓をピンポイントで焼く。
一瞬だけ、動きが止まる大男、その隙を狙うかの如く、暴れ狂う弾丸が、大男の頭部を撃ち抜いた。
「オークションで暴動が起こった場合、処理したら幾らだっけか?」
五十五は地面を走りながら、目隠しの男の方へと向かう。
「人数によるけど…一体10万くらいかねぇ?」
五十五は脳内で計算する。
「じゃあ一人頭5万か」
即座に答えた。
大男の命は、オークションで売買される粗悪品のレプリカレアよりも安かった。
女性が男性の価値を金で決める世界で、自らの権利をオークションに出した主人公の価値が天井知らずに上がっていく、権利を所持する為にヒロイン同士が金額を上げているらしい。 三流木青二斎無一門 @itisyou
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