雅、花梨、直。
三人の高校生による青春物語です。

青春と一言で表現しても、色々な種類があると思います。
キラキラと眩しいもの――というのが浮かびやすいと思いますが、この物語はむしろその逆。苦しみだったり、痛みだったり、悩める少年少女達の姿が圧倒的な心理描写とともに伝わってくるのです。

家族、病気、恋愛、友情……。
三人が抱えているものはあまりにも大きくて、読んでいるこちらまで胸が苦しくなったりもします。
しかし、もがきながらも前に進む彼女達の姿から目を逸らせなくて、気が付けば彼女達を応援するように読み入ってしまうのです。

三人の青春を、皆さんも見守ってみませんか？

タイトル、あらすじ、キャッチコピー、そしてサブタイ。
本編へ進む前の所謂表紙からこの作品の持つ空気に触れることができます。
目次とか読むの好きなのでたまらん。

抱えている想いがストーリー展開にきちんと絡んでいく描写は見事で、繊細な心情、情景の表現の美しさたるや。
そして悩みや葛藤だけではありません。コミカルな会話も楽しめます。
作者さんのセンス、凄すぎるんよ。

是非、この世界に入っていただきたい。おすすめです。

家族のこと、病気のこと、恋愛のこと。
それぞれの登場人物が、抱える問題に葛藤し、苦悩するところが一番印象に残りました。
特に主人公の心情描写が、重いにもかかわらず、非常に美しかったため惹かれました。
また最新話楽しみにしております。

（2022/8/16執筆）
　主人公の雅、親友の花梨、そして直は仲の良い三人組だ。
　しかし、その関係に少しずつ変化が起き、花梨が意識不明の重体となった時、雅にそれまでの事が突き刺さる。

　この作品の主要人物３人は、それぞれ大きなものを抱えているように思える。
　例えば、花梨は雅や直と明るく振る舞うものの、病弱で、定期的に病院に通わなければならない。
　それが原因で、雅が花梨に対してしっかりしなければと思うのは、ある意味自然な事かもしれない。
　そして、その雅にも、家族に関して大きな問題を抱えている。
　そのボタンの掛け違いのような問題、出来事が、徐々に雅を追い詰めていく。

　そういった繊細な関係の変化を、上手に捉えているのがこの作品だ。