第23話 史上最強の近衛騎士団長(予定)

 翌日、ペンドラゴン団長の間諜を含んだ近衛騎士を受け取った。


「取り敢えず、皆さんの実力は十分にあると思いますがー王立軍からの志願者に騎士とはなんぞやって言うのを見せてあげてくださーい。

 各団長とやって手心だ何だと言うあらぬ批判があると思うのでーそーゆーの回避するべく貴方達はー私とやり合ってもらいますー」


 まぁ、彼等は約束されし勝利の合格と言うのがあるが、まぁ、緊張感を持ってやって貰おう。


「合格しても貴方達には近衛騎士として騎士階級から選ばれたと言う自負の元に生活して貰いまーす。

 そこを鼻に掛けて団内を二分化する様なら考えますけどー取り敢えずーアレですねー暫くは近衛騎士団出身者は月一で私と私が良しと言うまで試合しましょーか。

 皆さんのプライド無くすのですがーまぁ、団内で階級社会作るのもアレって事なのでー我慢して下さーい」


 じゃあ行きましょーと待合室に。

 待合室は既に志願者達が集まっており、なんなら殿下までも居た。


「殿下、何してるんですかー?」

「激励だよ。

 この後観戦席に向かう。ウチの将軍達も何人か見に来てるよ」

「はぁ、暇なんですねぇ。

 じゃあ、時間になったら番号順で来てくださーい。

 近衛騎士達はー王立軍の志願者の間に入って下さーい。志願者、近衛騎士、志願者みたいな順で来てくださーい。

 近衛騎士は五分とかからないと思うのでー志願者の皆さんは安心してくださーい。

 じゃあ、私は行きまーす。強い人は私の直属小隊に入れまーす」


 それではーと控室を後にすると殿下も私も向かおうと言って出てきた。


「君も頑張って」

「はいー近衛騎士も一撃は防いで欲しいですねー」


 審査員席と言うなの闘技場に入る。砂地で全近衛騎士団長がフル装備で待っていた。


「エウリュアーレ殿下!

 この様な場所に!」


 全員が傅く事はないが深々と敬礼した。そう言うのを見るとやっぱり王族なんだなーと思う。


「やぁ皆。

 私が育てた部下を宜しく頼むよ」

「全力でボコボコにして下さーい」


 全員が私を睨んできた。


「私も皆さんの部下を全力でボコるのでー」


 着替えてくるので待ってて下さーいと更衣室に。鎧を着て闘技場に戻ると後は受験者を呼び込むだけと言う体制になっていた。

 最初は第三近衛騎士団長。

 志願者は銃を持ち込んで来ていた。近衛騎士側がざわついて居た。


「全然良いですよー

 寧ろ団長側はどう避けるか考えて下さーい。弾は何を入れてますかー?」

「演習用の模擬弾です!

 当たると鎧が凹みますが死ぬ事はありません!死ぬほど痛いです!」


 志願者が答える。


「らしいでーす。

 なのでーまぁ、気をつけて下さーい」


 第三近衛騎士団長はマジかよと言う顔をするがすぐに笑みを浮かべ、兜を被った。


「実弾だと盾を貫通するので?」


 そして、未だに帰ることのない殿下に聞く。


「うん。

 盾は貫通する。まぁ、その後ろにある鎧には弾かれるね」


 弾かれるのかーなら構えて防いでもノーダメという判定で行くか。それを各団長に告げる。

 見ものだな。


「じゃあ始めまーす」


 かいしーと告げると志願者はすぐに銃を構えた。団長はロングソードを構えて動かない。

 近付くと死ぬ訳だ。


「及第点ですねーこのすくみを自分有利にどう打開するのかか見ものですねぇ」


 マスケット銃には銃剣も付いているが、フルプレートの騎士には絶対威力不足だろう。関節や脇を狙うしかない。銃剣は木製で突けば折れる。聖騎士も居るので医療は万全だ。


「近衛騎士としては積極性も見たい物だな」

「そうだね。

 剣技や格闘能力も要素の一つだからね」


 第四近衛騎士団長やドラクロア副団長も頷く。

 睨み合って5分ほど経過した時に事態は動いた。先に動いたのは団長。盾を構えつつ前に駆け出した。距離は一射撃分しかない。

 志願者はギョッとした顔で引き金を引くが盾に当たる。体は無事だ。あーあ、焦っちゃってぇ。

 しかし、志願者は冷静だった。盾の方に動いて団長の視界と攻撃範囲を制限する。


「冷静だな。

 あとはあの短槍で何処まで出来るか、だな」


 ミュルッケン団長が腕を組んで成り行きを見守る。

 暫く2人の攻防を見るが団長有利で事は進み銃剣が折れたところで私が止めを掛けた。


「まぁ、部隊の運用とかを考えれば合格で良いのではないかな?」

「私もそう思う。

 銃と砲で戦うなら近接戦闘は第五よりも上であれば良いと思う。格闘能力ならミュルッケン程度なら制圧出来るだろうな」


 ペンドラゴン団長とドラクロア副団長は合格を出し、第四近衛騎士団長とミュルッケン団長も同じくと続く。合格だ。


「はい、君合格ーおめっとさーん。

 次ー」


 次は私だ。

 手元の図板をミュルッケン団長に渡してやって来る近衛騎士に対峙する。


「情け無い負け方したらクビねー」

「はい!」


 兜を被り、剣は抜き身だ。盾も構えて万全の体勢である。

 私は剣を抜いていない。


「サブーリン団長、剣は?」


 近衛騎士が尋ねてくるので首を傾げる。


「君に私が剣を抜かせるのだ。

 さぁ、来い」

「っ!」


 近衛騎士は盾を構えて突撃してくる。私から見て盾の左側に剣を突き出している。所謂盾チク。まぁ、ロンソだから大した事はできない。

 一応私に対してある程度の考慮をして来たのだろう。そのまま右側の盾を思いっきり左に引っ張ってバランスを崩しつつ、脚払い。


「はい、一撃。

 まぁ、今後に期待だねー近衛騎士団枠で合格です。よかったですねー」


 ツギーと呼び込む。

 パッパといきましょう。パッパと。

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