第23話
エビを食べている。
正直、食は食感の次に味だと思っている。
味が最悪でも食感がよければつまみにはなるし、味が悪くても酒が入っていれば舌も鈍るから。
そんなぼくの好きなものは、今食べている揚げたエビの脚と尻尾。カリカリで口の中が幸せなのだ。
つまみとしてならエビの次はししゃもが好きだ。子持ちししゃものプチプチ感がたまらないのだ。
味はどうでもいいのだ。
それは嘘だ。
最早味が分からないのだ。社会の荒波に揉まれて。
覚えている味をなぞっているだけなのだ。その刺激で少しでも味が分かればいいと思いながら。
幸いなことににおいは分かるのだ。でもそれなら海産物は苦手なのだ。
幸せだった故郷での日々を思い出すから。
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