第18話

いくつもの本を読んでいる

誰よりも本を読んでいる

それはそれはそれはいい格好しいの嘘である

手のひらに収まるほどの手の内に収まるほどの短い文しか読めないでいる

記憶という物語の中に自分を見出だすなら現実という不純物の泥に顔を突っ込んで溺れてしまえばいい

誰よりも傷ついたならそれを埋めるために読めるはずだ呼べるはずだ

口内で収まる酸味ならばよし

脳内に滞る渋みなら悪し

酒を飲む酒を飲めよ

全てに背を向けられる明日には現実を突きつけられる

孤独から逃れようと酒を飲もうものなら言い様のない不安感と語彙に乏しい寂寥が胸を焼く

価値観の違いがそれぞれの運命を分ける前に価値観の違う誰かを探さねばならない苦痛が足裏を刺す

飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない飛びたくない

誰よりも地を這っていたい誰よりも血を知っていたい

溢れる溢れる溢れる感情の波が溢れてしまえ溺れてしまえ

くそくらえだ

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