第12話

酒を呑むと寂しい気持ちに包まれる

酒を呑むと自分が情けなくなる

酒を呑むと記憶が甦ってくる

酒を呑むと酒を呑むと酒を呑むと酒を呑むと


酒を飲んで忘れようとしている何もかもを

振り返りたくない過去は消えず楔となる焼印となる

その場で忘れられてもしんどいときには必ず蘇る


消えたくない消えたくないという思いも本物だ

死にたくない死にたくないと祈る思いも本物だ

死にたくないというよりは消え去りたくない

立つ鳥跡を濁さずなんて不可能だ誰かの何かには刻まれる


酒を飲んで忘れよう

酒を飲んで忘れよう

無理だって分かってるけど忘れることを信じてまた飲む

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