第11話
酒を飲んで忘れよう
あの日の傷みも哀愁も
酒を飲んで忘れよう
あの日の怒りもやるせなさも
酒を飲んで酒に飲まれて酒に潰されてそれでやっと忘れられるものかもしれないけど
酒を飲んでも飲まれるなとはいうが思い浮かぶ限りの酒の思い出は飲むより呑まれているときの方が多い。もっと言うなら記憶が飛んでいるのだから、酒を飲むべきではない人間なのだと思う。それでも飲むが
酒を飲んで忘れたいあの日の恋心もあの日の執心も
酒を飲んで忘れたいあの人の顔も匂いも温かさも
酒を飲んで飲みに飲んで呑まれて狂い泣きわめいて
それでやっと忘れられるものかもしれないけど
酒を飲んで忘れたくても都合のいいことばかり頭から立ち消えて、都合の悪いことばかり、都合の悪い感情ばかり頭に残るのだ。酒は身体に薬であるが、魂に毒である
酒のことを忘れないいくら狂ったとて
酒のことを忘れないいくら呑まれたとて
酒のことを忘れないいくら壊れたとて
潰されているから今の自分がいる
壊されているから今の繋がりがある
死を目前にしたからこその勇気がある
酒を飲んでも忘れるものかあの日の感動を情熱を
酒を飲んでも忘れるものかあの日の優しさと抱擁を
酒を飲んでも忘れるものか今生きている理由を
酒を飲んでも記憶に残るものは魂に芯までこびりついた生きる理由であるから
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