第21話 俺が?

「東山! 神無月さんと付き合ってるのか!?」


 教室の席に座るとクラスの男子から、いきなり話しかけられた。名前、何だっけコイツ?


「いや、付き合ってはいないぞ?」

「でも、一緒に登校してきたろ!?」


 田中(仮)くんが来た事で、周りの男子も集まってきた。


「まあ、そうだな。でも、隣の席だから仲もいいんだよ」

「……仲いいのか? そういう感じには見えなかったぞ?」

「この間、神無月様を睨んでたろ!?」

「お前だけズルいぞ!」


 うむ、集まってきた男子は、ほとんど話したことはないが、蔑ろにするのは不味いよな。どうしようかな。


「ほらほら、男子。東山君は姫のナイトなんだから、あんた達じゃ役不足よ!」


 むむ、誰子ちゃんだっけ? てか俺、隣の美琴の香臭に気を取れすぎていて、クラスの奴らとあまり話してなかったな。

 あれ? 俺ってもしかして寂しいヤツ? 友達いないボッチ君? あれ? 


「氷川、何だよナイトって」


 ナイスだ田中(仮)君。氷川さんと言うらしい。覚えておこう。


「金曜日の帰り道に、姫がC組の矢島に襲われそうになったのを、東山君が助けたのよ! あの矢島をヒョイと千切っては投げ、千切っては投げで、凄かったしカッコ良かったんだよねぇ」


 矢島? あのドレッドヘアか。だけど千切ってはいないぞ。田中(仮)君が俺の顔をまじまじと見る。


「マジか!?」

「……まあな」


「ちょっと田村どいてよ」


 そう言って俺の机脇の田中(仮)君あらため田村君をどかして、氷川さんが詰め寄ってきた。田はあっていた!


「東山君はさぁ、姫と付き合っていないんならフリーだよね」

「姫ってだれだ?」


 まあ、話の流れから美琴だろうな。俺は隣の席の美琴をチラッと見る。あちらはあちらで、珍しくクラスの女子が何人か集まっている。


 美琴は轟と付き合っていた事もあったせいか、あまり女子生徒と話をしている姿を見た事がなかった。


「ご推察の通り神無月さんよ。それでどうなのかな、東山君」

「彼女はいないけど、女の子と付き合う予定は今は無いな」

「ふ〜〜~ん。そっかそっか。分かったわ」


 氷川さんが何が分かったのかは、よく分からなかったが、クラス担任が教室に入ってきた事で、この話は打ち切りとなった。



「なあ、東山ぁ」


 お昼の昼食タイム。机に弁当を広げ、玉子焼きを口に運んだ時に、田村君が紙パックのコーヒー牛乳を左手に持ち、菓子パンをかじりながら、俺の机脇にやってきた。


 右隣の空いている机に座りながら、今朝の続きを話し始めた。


「神無月さんってさ、この間、轟君と別れたじゃん」

「そうだな」


 左隣の席の美琴は、氷川さんに誘われ昼食を庭のベンチで食べる様な話をして、教室から出ていった。普段は菓子パンかゼリー飲料で済ましている美琴に、俺が作った弁当を渡してある。


「その後に沢山ラブレター貰ってたけど、誰かと付き合うのかな?」

「いや、あれは全部断ったな。今は彼氏を作らないみたいだぞ」


「マジか!? なら俺にもワンチャンあるのかな」

「……俺からは何も言えないな」

「……そっか。東山も狙ってるんだよな?」


「俺?」

「何だよ、狙ってないのか?」


 俺が美琴と? 美琴へのトキメキは入学初日で香臭に掻き消されていた。勿論、美琴は間違いなく可愛いし、週末も一緒にいて楽しかった。そしてあの夜……。


「オイ東山、顔が茹でダコになってるぞ」

「えっ、あっ、お、おう!?」


 俺が美琴と……?


◆◆◆◆◆◆◆


【作者より】

 5/4 皆様のお陰を持ちまして、ラブコメ週間ランキング97位になれました。


 カクヨムでの人気は運要素が強いと言われています。皆様と、この作品が出会わなければ埋もれてしまった作品です。


 ランキング100位以内は、自分みたいなマイナー作者からしたら夢のランキングです。


 沢山の応援♡、メッセージ、★を頂きありがとうございました。


 引き続き宜しくお願いします。

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