ep11 フェアリーインテリジェンス
「人間だと!?」
「それも、魔族に操られた人ならざる人間......」
「何だと!?それはどういう事なんだ!?」
「わたくしを襲ったのは、おそらく魔族の何者かが何らかの意図を持って、人間を使ってわたくしを襲わせ、しかもそれが魔物の森の魔物の仕業と見せかけるように仕向け、結果的に私達とヘンドリクス王国の間に争いを起こさせようとしているためです」
「その魔族は何者なんだ!?それに目的は何だ!?なぜオレ達とヘンドリクス王国を争わせる!?」
「その魔族が何者か、そしてその目的まではわかりません」
「...だが、なんでそこまではわかったんだ?」
「啓示があったからです。そう、スヤザキ様とミッチー様がいらっしゃる事を知ったのと同様に。
といってもそれは断片的な情報、いわば示唆です。ですので、それだけではありません。
実は魔族の不審な動きについては『フェアリーネットワーク』で調べていたのです」
ここでコーロは思わず「なんか急に現代的なワードが......」と呟き、すぐにピンと来て、
「あっ!ログインてまさか、それのことですか!?」
閃いたように声を上げた。
エルフォレスは少しお茶目に微笑んで「はい」と答え、話を続ける。
「わたくしは襲撃を受けましたが、間一髪助かることができました。
どうやって助かったのか?
それは森の妖精主であるわたくしの魔法です。わたくしの魔法は少し特殊なものですので。フフフ。
そして、その時にわたくしは、これは深い問題をはらんでいると考えました。
なぜなら、わたくしを襲ってきたその人間からはとても邪悪な魔力と気配を感じたからです。
それは普通の人間にはないものです。ですので、これは裏で魔族が、しかも高位の魔族が、糸を引いているのではないかと推測しました。
そこでわたくしは、そのままやられたフリをしました。
やがて異変に気づいたレオルドが、すぐにわたくしを見つけ結界内まで運んでくれましたね。
それからわたくしは昏睡状態を偽装したままフェアリーネットワークに潜り込み、『妖精ブログ』『フェアリー知恵袋』『FNS』などから情報を集めた、というのがここまでの経緯です」
「妖精ブログって何!?フェアリー知恵袋って!ベストアンサーとかあんの!?FNSのFはフェアリーのFですよね!?歌謡祭のじゃないですよね!?」
コーロは
エルフォレスは、無邪気そうにフフフと笑いながらもすぐに表情を戻すと、さらに話を続ける。
「レオルドや森の皆には本当に心配かけてしまいましたね。
しかし、敵の情報が無い以上、わたくしの偽装工作がどのようにバレてしまうかもわかりませんでしたから。
それに、敵を欺くにはまず味方から、とも言いますしね」
「全く心配かけやがって...!ん?だがよ?その襲ってきた人間とやらを倒しちまった方が早かったんじゃねえのか?なんならオレを呼ぶとかよ?オレならすぐに行けたはずだぜ?」
「残念ながらその余裕もありませんでした。その者はただの人間ではありませんでしたからね。
なんというか、とても深い邪悪なものをはらんでいた......
あれはとても危険でした。一歩間違えていたら本当に殺されていたかもしれません」
「そんな危ねえ奴だったってことか......」
「とても危険でした」
コーロは真剣に耳を傾けていたが、まだこの世界にやって来て間もない上、あまりに色んな情報が一斉に押し寄せてきたので、頭の中はかなり混乱していた。
次第に彼は、いてもたってもいられないような心持ちになり、焦ったように声を上げる。
「あ、あの...!俺に何ができるんですか!?俺は戦えないですよ!?確かに、闇の魔力は持っているみたいですが......それに、この世界のことも何もわからないし...!」
狼狽しながら訴えるコーロ。
その様子を見ながらミッチーが言葉を重ねる。
「エルフォレス様。確かにコーロ様はダークウィザードです。
しかし、まだこの世界にやって来て間もありません。まだ右も左もわからないのです。
そんな状態で討伐軍や勇者と相間見えることはあまりに危険と言わざるを得ません。
そして、人間であるコーロ様が魔物の森を守るため、同じ人間である討伐軍や勇者と戦うというのも......。
正直、コーロ様が貴方達をそこまでして助ける義理もありません」
「お、おいミッチー、それは......」
「コーロ様。これはハッキリと申しておかないといけない事ですよ?事実ですから!」
ミッチーの言葉を聞き、エルフォレスは申し訳なさそうな笑みを浮かべ、
「ミッチー様の仰る通りです」
理解を示した。
その上で言葉を続ける。
「実は、わたくし達にはスヤザキ様に、ダークウィザード様にお力添えをお願いする
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