ep10 魔物の森とダークウィザード

「フフフ。どうも失礼しました。ダークウィザード様と導きの書様ですね?お二人のこと、お待ちしておりました」


「エルフォレス!知ってたのか!?」


「眠りの中で啓示がありましたから。そして、お二人が我々の危機を救ってくださる救世主だということも」


「エルフォレス様!啓示があったとはどういうことなんですか!?」


「あら、導きの書様。貴女ならわかるのではなくて?お二人が別の世界から来たということもわかっています。そして、貴女から大事な欠片がいくつも欠けてしまっていることも」


「おいミッチー!どういうことなんだ!?」


「まあまあダークウィザード様。落ち着いてください。それで、改めて、自己紹介してくださいませんか?」


「あ、す、すいません!こちらの紹介がまだでしたね。俺は須夜崎行路すやざきゆきみちです!それでこちらは...」

「ミッチーです!」

「おまえブレないな...」


「フフフ。スヤザキ様とミッチー様ですね。この度はレオルドが驚かしてしまい申し訳ありませんね」


「い、いえ!そんな!」

「全然大丈夫です!レオルドさん、見た目がコワイだけですから」

「おいミッチー!おまえいい加減に...」


「フフフ。面白い方々。ところでスヤザキ様。ミッチー様。レオルドの言っていたことは本当なんです。我々にはスヤザキ様の力が必要なのです」


「勇者に対抗するためですか?」


「ええ。それに、実はダークウィザードと魔物の森には深い縁があるのです」


「縁?」


「実はこの魔物の森は、今から三百年前、わたくしとダークウィザード様によって作られた森なのです」


「そうなんですか!?」


「ここは争いから離れ静かに暮らしたいと願う魔物達のため、わたくしとダークウィザード様が作った森、それがこの魔物の森なのです。

 この森では、魔王に干渉されず、人間との争いもありません。

 ちなみに、レオルドがこの森の守護獣となったのは、ダークウィザード様のお力によるものなのですよ?」


「そうなんだ。オレはダークウィザードの力で魔物の森の守護獣となった。というかヤツにシバかれたんだけどな!」


「そ、そうだったんですか」


「おそらくスヤザキ様が別の世界からこちらの世界に転移して、最初に辿り着いた場所が魔物の森なのも、そういう経緯があるからなのかもしれません」


「呼び寄せられた...ということなんでしょうか...?」


「導きのままに、いらっしゃったのかもしれませんね」

「導きのままに......(どこかで聞いたような...?)」


「さて、改めましてスヤザキ様。ミッチー様。レオルドが言ったように、どうかわたくし達にお力を貸していただけますか?」


「あの、それなんですが......」

「何ですか?」


「そもそも、その...俺、戦いとか無理だと思います。まだこの世界に来たばっかで、魔法だって、ついさっき初めて使ったばかりだし......

 それに、エルフォレス様が復活したのなら、その必要もないんじゃないんですか?」


「確かに兄ちゃんの言う通りだな。森の妖精主が復活したなら、人間と争う必然性がなくなるからな」


「それは違いますよレオルド。これはもっと深い問題をはらんでいるのです」


「深い問題ってなんだ?」


「まず、わたくしが結界外にいる時、何者かに襲われたのは事実です」


「そうだそれだよ!オレが一番気になってたのはよ!エルフォレスを襲った奴は一体誰なんだ!?」


「わたくしを襲ったのは、おそらく...人間です」

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