邪を滅する力
かつてリーザが過ごした孤児院で寮長よりリーザは前領主の実子ではない事を聞かされたルルーとムルカ。
驚きを隠せないルルー達に寮長は更なる事実を話す。
「しかもリーザ様の生家はピトリ国内でも有力の貴族の家柄なのです。ピトリ王家に代々仕えている家系なのです」
「では何故リーザさんが地方領主の養女となったか教えていただいてよろしいでしょうか?」
「その貴族の家系に生まれた女子は代々と不思議な魔力を得ると言われていました。それも邪を滅する魔力を」
「邪を滅する魔力?それは我らミッツ教徒のような聖なる魔力という事ですか?」
ルルーの問いに寮長は思いがけない返答をする。
「いえ、その魔力は上手く活用すれば邪を滅するのですが、誤った使い方は邪を活性化させるのです」
「邪の活性化?まさかそれを狙って魔族はリーザさんをさらったという事ですか!」
「ですが、リーザ様はもちろん、リーザ様のお姉さまにも特殊な魔力は秘めていても自身でその魔力を消費し力を行使することはできないのです」
「お姉さま!リーザさんにお姉さまがいたのですか、まさかその方が……」
ルルーが言いきる前に寮長がその事実を指摘する。
「ええ、その方があなた方が探し、魔族が求めているもう1人です」
「そういう事でしたか、リーザさん達のご両親はいずれこのように魔族がお2人を狙う事を危惧していた。そこでリーザさんを他家の養女とし、2人がまとめて連れ去られないようにした。そういう事ですね」
「あなたのおっしゃる通りです。そしてあなた方がリーザ様をお助けしようとしているならば、もう1人の方についても話さなくてはなりません」
寮長は少し息を整え直し、リーザの姉について話し始める。
「あなた方が探し、そして魔族が求めているもう1人の方は現ピトリ女王陛下であらせられるヴェイシャ様でございます」
「ピ、ピトリの女王陛下がリーザさんのお姉さま⁉」
「はい、そして女王陛下もリーザ様同様の魔力を秘めております」
「実は我々はピトリ女王陛下にこのピトリに魔族がいるので警戒態勢を敷くよう文を送ってます。ですが魔族の狙いが女王陛下だとすると……」
ルルーが発言し終える前にムルカがルルーに対して声をかける。
「我々はこのまま直接王都に向かう他あるまい。魔族といえど簡単に王都に侵入はできんだろうが……」
「はい、少しでも急がなくてはなりませんね。寮長さん、ありがとうございました。我々はこれより王都へ向かい、事情を説明し、魔族が襲撃すれば迎え撃ちます」
「分かりました。ご武運を、そしてリーザ様の事もよろしくお願いします」
思わぬ真実に戸惑うルルー達だが、一刻も早く王都へと向かうべく、孤児院をあとにした。
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