ミックサック団の意地

 ミックサック団の看板女優であるリーザが魔族により連れ去られ、救出と魔族が狙うもう1人を守る為の手がかりをつかむべく、ギン達はピトリ行きを決意する。


 そんな中、ミニルがミックサック団の団長に尋ねていた。


「あの団長さん、主演のリーザさんが不在になってしまいしたが、公演はどうされるおつもりですか?」

「もちろん続ける、幸い街にはそれ程の被害はなさそうだしな」

「大丈夫なんですか?リーザさんがいらっしゃらない中公演を続けるなんて……」

「だからこそだ、ここで公演を中止してしまえばわしらは魔族に屈した事になる。これはわしらミックサック団の意地なのだ!」


 強い言葉と共に団長は1人の女優に声をかける。


「おい、何とか明日の公演までにリーザのセリフと動きを覚えてくれ!細かいフォローはみんなでする!」

「は、はい!」


 団長に声をかけられた1人の女優はリーザの代役として早速台本を読み込んでいく。


 その様子を見たミニルがルルーに声をかける。


「あのルルー様、ちょっとよろしいですか?」

「ミニル、どうしたの?」

「ミックサック団の方達がこの街で公演を続けるなら私は最後までそれのお手伝いをしたいと思っていますが、よろしいでしょうか?」


 ミニルがルルーにニリに残りミックサック団の公演の手伝いをしたい事を懇願しているとウィルがミニルに対して反対意見を述べる。


「ちょっと待てよ!何もお前が残る必要はねえだろう!今の俺達はリーザさんの救出ともう1人を守り抜くのが最優先だろう!お前意外にもギルドのメンバーはいるし、任せりゃいいじゃねえか」

「でも兄さん、ミックサック団をこの街に招待したのは私だし、最後まで見守る義務はあると思うわ。それにさっきの襲撃でギルドメンバーにも怪我人が出たし、ここの人手だって1人でも多い方がいいわ」

「だけど、やっぱり今の俺達は魔族と戦う事の方が重要だ、お前だって戦力の一端なんだぜ」


 ウィルとミニルの意見のぶつけ合いの中、ルルーが声をかける。


「2人共一度落ち着いて、ミニル、私の考えを話すわ」

「はい」

「やっぱり今私達がするべきは魔族の脅威から人々を守る事だと思うの、その為には一刻も早くピトリに向かわなくてはならないわ」

「それじゃあ……」


 やはりミニルは自分が残る事はできないと考えるが、次の瞬間ルルーより意外な言葉が発せられる。


「でも、ミックサック団がご自分達の役割を果たそうとしているのをサポートするのも大事な事だと思うわ。だからミニル、ここはあなたに任せるわ」


 それぞれに役割がある。ルルーよりミニルがニリに残る許可が出たのだ。

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