リーザの生い立ち
ウィルの父親であるボガードは自身の部下を動かし、ウィルやギン達が1日でも早く出航できるように船の整備や物資の詰め込みを急いでいた。
そんな中、ルルーはミックサック団の団長にリーザについての事を尋ね、団長がその事について話そうとする。
「リーザを初めて見たのはピトリ国内の孤児院の子がやっている演劇でだった。まだ幼かったが将来見込みがあると思いスカウトした」
「それ以前の事で何か団長さんがご存じな事はありませんか?」
「スカウトの際にまずは孤児院の院長さんに話をしたが、そこで聞いたのはあの子が戦争で両親を亡くしていたことだ。随分前にブロッス帝国に武力併合されたルワール王国の侵攻によってな」
ルワールという単語を聞き、思わずエイムはギンの方を目にするが、ギンはエイムに対して言葉を放つ。
「エイム、俺の事なら心配いらない。多分その頃にはボースのいいなりになっていたんだろう」
ギンの祖国が他国に侵攻していた事実はエイムを動揺させるが、ギン自身の言葉で落ち着き、団長は話の続きをする。
「驚いたのはあの子の親だ、当時のその孤児院のある地方を治めていた領主だと聞かされた」
「そうなのですか、まさかそのご実家に魔族の狙う何かがあるのでは?」
「わしが聞いた感じ、それほどピトリ王家と関りが深いわけでもなさそうなんだが」
団長の話を聞き、ルルーが礼の言葉を述べると、他の仲間を周囲に呼ぶ。
「分かりました、教えていただきありがとうございました。みんなこっちに来てくれる?」
ルルーの呼びかけにギン達は集まり、ブライアンが最初に尋ねる。
「それで、どうするんだルルー?」
「まずはピトリのリーザさんがいた孤児院とその地方の今の領主から話しを聞く必要がありそうね」
「そんな事をする前に魔族を探した方がいいんじゃねえのか?理由は後から聞いても遅くはないだろう」
「ブライアン、今回はリーザさんをただ救出するだけでなく、もう1人も守らないといけないの。現状誰か分からない以上手がかりを探る必要はあるわ」
ルルーとブライアンのやり取りを聞いてギンがルルーに声をかける。
「ルルー、ピトリ女王にもこの状況を知らせなくていいのか?」
「そうね、ピトリが警戒していれば魔族もそう簡単には動けないと思うけど」
「それに関しては現地に向かう途中で方法を決めよう。船の整備はボガード殿達に任せ、俺達は出航に備えよう」
「そうね」
謎の多い、魔族の動き、彼らが狙う人物とは一体?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます