城への宿泊

 プラナにとってようやく安心の日々がやって来た事を実感する一同。


 プラナがまだギンに抗議をしていると、カイスが声をかける。


「プラナ、もうそのへんでいいだろう、ギンが困っている」

「カイス様、カイス様がそうおっしゃるなら……、でも兄さん、私の言った事はちゃんと覚えてよね」

「あ、ああ……」


 プラナの一言にギンが戸惑っていると、ルルーがカイスに声をかける。


「カイス、これから帝国はどうしていくか聞かせてもらっていい?私達も帰国して報告しなくちゃいけないから」

「そうか、今後ブロッス帝国は他国との協調路線を歩んでいくつもりだ。後日にはなるが同盟も視野に入れた休戦の為の使者も派遣する」


 カイスの発言に対し、ムルカが言葉を発する。


「しかしカイス殿、我らと休戦を結ぶ事で別の混乱もありえはする。フィファーナ将軍が説得してくれたとはいえ、まだ反対派も多くいるであろうしな」

「確かにな、だが他国の者でありながら我らへの協力を惜しまんと言ってくれた貴殿らと、こんな私の側にいながら支えてくれる者達がいる。私があきらめては何も変わらぬからな」


 カイスの言葉を聞いたギンはカイスとプラナ、それぞれに声をかける。


「今のお前なら心配はしてない、お前達が帝国を建て直している間に俺達が魔族を抑える。プラナ、しっかりとカイスを支えてやってくれ」

「分かった、頼むぞギン」

「うん、兄さん達も気をつけてね」


 ギンがカイスとプラナの言葉を聞き終えるとエンビデスが一同に呼びかける。


「皆、今日は疲れているであろう。今日はこの城に泊まっていけば良い」

「いいのか?さっきまで戦っていた俺達を城に泊めてなんて」

「構わぬ、我々は和平交渉の使者を招いたに過ぎぬのだからな」


 ブライアンとエンビデスのやり取りを聞いて、ウィルが自分の考えを話す。


「いいんじゃねえのか、どうせ俺達はリンド達が船で迎えに来てくんねえとプレツに帰れないわけだし」

「ならば波止場の兵にお前達の船が来たら知らせるよう命じておく、報告があり次第向かえば良かろう」

「そいつは助かるぜ、なあみんなやっぱり泊まっていこうぜ」


 ウィルがそう呼びかけるとルルーも一同に対して呼びかける。


「そうね、リンドさん達がきっと迎えに来てくれているし、それまで待つのが賢明のようね」


 客人として迎え入れられたギン達はブロッスて帝国本城に泊まっていく事となった。

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