届かない思い
城内にギン達が侵入し、更にエンビデスとトーラスが部隊ごとギン達についた事を知ったカイスは自らの手でギン達を討ち果たすべく玉座の間を出、近衛兵と共に城内にいるであろうギン達を捜索し、そして城の廊下でギン達に相対する。
「ギン、やはりお前達を討たねばこの戦いは終わらぬようだ、エンビデス、トーラス、まさかお前達が離反し、帝国に仇なすとはな」
「それは違います」
「お前は⁉……」
ギン達を討ち果たすことを宣言し、更にエンビデスとトーラスが離反したことを言及するが、それを否定した者にカイスは驚きを隠せないでいた。
「お久しぶりです、カイス様」
「プラナ⁉何故お前がここに?お前は死……」
「カイス様とお話がしたく参上しました。どうか私や兄達、エンビデス宰相やトーラス殿のお話にお耳を傾けてください」
「プラナ、何故来た?騎士としてのお前は死んだ、これからはその男と共に平穏な暮らしを送って欲しいと私は……」
さすがのカイスもプラナがギン達と共に再度帝国に来ることは想定しておらず、動揺しつつもプラナを突き離そうとするが、プラナは自らの思いをカイスに伝える。
「確かに兄と過ごすことを私は望みました。ですが私にとっては兄だけでなくカイス様もすごく……大事なお方です……騎士として、上官としてだけでなく、1人の殿方としてお慕いしております……今のお辛そうなカイス様を私は見たくありません」
「……プラナ、かつての私ならいざ知らず、今の私はブロッス帝国の皇帝だ、そのような情で私が動くと思ったら大間違いだぞ」
「私は……」
「黙れ!私に意見するというなら、お前でも斬らねばならん」
プラナの懸命の告白を切り捨て、文字通り斬る事を宣言され、プラナは落胆の言葉がもれてしまう。
「そんな……カイス様には私の言葉なんて届かないって事なの……」
「プラナさん、まだあきらめるのは早いです」
「エイムさん……」
「カイスさんが本心からこの戦いを望んでいるわけではない事はきっと私達よりプラナさんの方が感じているはずです!だからまだあきらめないでください」
エイムの激励を受け、プラナの瞳に生気が戻り、力強く返事する。
「エイムさんのおっしゃる通りです、私があきらめてしまったら何の為にここに来たのか」
プラナがエイムに対し強く返答をしているとトーラスがギンに声をかける。
「ギン殿、まずは私とエンビデス宰相がカイス様と話してみます」
「いきなりお前達が行くのか?」
「我々は長年カイスと共に戦ってきた、そんな我らだからこそできる事がある」
「そうか、それじゃあ、トーラス、エンビデス頼むぞ!」
トーラス、そしてエンビデスがカイスと話すべく動く!
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