心動く魔導士
カイスよりもかなりの年長である自身ではカイスが皇帝として相応しい貫禄や経験を積むまでは生きていけないことを悟っており、その前にカイスに敵対する者を鎮圧する事がカイスの為である事を主張するエンビデスであったが、ムルカよりカイスが望む道に進めるよう支えるのが正しい道ではないかと告げる。
「エンビデス殿、帝国が割れるというなら我らも貴殿らに力を貸そう」
「先の休戦の時も言ったが、それはお前達の内政干渉になるのではないのか?」
「それは貴殿らが我らや他国に支援を求める姿勢を示せば我らの動きも外交上の動きとなる」
「しかし、その方法をとれたとして帝国が再びまとまるまでに私の命は……」
年単位でかかるであろう外交上の支援を受けながらの帝国内の反帝国同盟を敵視する勢力の説得に自らの命が持たない不安を抱えるエンビデスであったが、再度ムルカは呼びかける。
「カイス殿だけではなくトーラス殿のような若く、カイス殿を支える覚悟のある者ももっと信じてやればどうだ。貴殿が思っている以上に若者の精神は立派だと思うぞ」
「フフフ、さすがは神官戦士、説教が上手いようだな」
エンビデスの言葉がムルカを侮辱しているように感じてルルーが怒りを露わにする。
「何ですって!あなたにはムルカ様のお気持ちが分からないの!」
「勘違いするな、この年で自らより若輩者に説教を受け、それに心が動いている自らに驚いているのだ」
「それじゃあ……」
「私もカイスの説得に協力しよう、もし説得するなら今を置いてないであろうからな」
エンビデスがようやく説得に応じた事にエイムが礼の言葉を告げる。
「ありがとうございます、やっぱりエンビデスさんも私達と同じ気持ちだったんですね」
「お前達は敵ではない。ただ私は自らの本心に従ったまでだ、私やトーラスがこうやって本心を解き放つことができたのだ、後はカイスだけだ」
そう言いつつエンビデスは魔導師団に対し、自らの考えを話す。
「聞いての通り、私はこれよりカイス陛下に休戦を進言する。言っておくが止めるならば力づくでこい」
「何をおっしゃいますかエンビデス様、我らもお力添えします」
「うむ、頼むぞ」
エンビデスと部下のやり取りを聞いて、ギンが一同に声をかける。
「じゃあ、みんないよいよカイスの元に向かうぞ。城に入ろう!」
エンビデス、トーラスがギン達の説得に応じ、カイスの説得に協力することとなった。さあ、戦いの終わりは近づいているぞ。
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