救う人、救われる人
魔族であるゴズを倒し、ギン達は孤児院を守ることに成功する。
そんな中、ゴズを失い方々に散っていく魔物達を見てブライアンが反応する。
「街の方に向かっている魔物もいるぜ、追いかけねえと」
ブライアンが魔物に反応を示すとどこからか、声がする。
「街の方の魔物は我々に任せろ!」
「隊長、お願いします」
声の主はスップの防衛兵団の隊長である二フラであり、今しがた到着し、そのまま魔物の追撃を行う事を告げ、魔物達を追いかける。
二フラ達が魔物を追いかけていくのを確認するとギンがプラナに声をかける。
「プラナ、ケガはないか?」
「うん、私は大丈夫、それよりもさっきの人が心配だわ」
「お前と一緒に孤児院を守っていた兵士か、ルルーやムルカ殿がいるから治療もしているはずだが」
ギンがそう言うと、孤児院の中からルルーとムルカが出てきて、ホセのケガの具合を説明する。
「もう大丈夫よ、マザー達が治癒してくたから、まあ、マリンちゃんに泣きつかれて動けそうにないけど」
「そうですか、良かった」
「あ、そうだプラナ、彼から伝言を聞いているからあなたに伝えるわ」
「伝言?」
次の瞬間、ルルーはホセより聞いた伝言をプラナに伝える。
「彼はこう言ってたわ。『逃げても良かったのに、あんたは俺や妹、その友達を見捨てずに命がけで戦ってくれた。あんたは子供達にとって必要だ、あんたの事を理解せずに悪く言って悪かった』ってね」
「彼がそのような事を……」
ルルーとプラナのやり取りを聞いて、エイムが口を挟む。
「プラナさんが子供達を命がけで守ろうとした事がマリンちゃんのお兄さんの心にも通じたんです」
「私は帝国の騎士であった事実はどうしても変えられない、でもせめてあの子達だけは守りたかった、それだけです」
プラナの言葉を聞いて、ギンがプラナに対して声をかける。
「そういう事を迷いなくできるからお前は強いんだ」
「兄さん」
「お前が頑張ったおかげであの兵士はケガはしたが命を落とさずにすみ、子供達も守られ、俺達が間に合ったんだ、だから帝国の騎士だったからといって必要以上に自分を責めるな」
ギンとプラナの話を聞いて、ルルーも話に加わる。
「そうよ、あなたがいたから救われた人が多くいたのよ。私もミッツ教団の一員としてあなたに感謝するわ」
「はい、子供達が無事で本当に良かったです」
プラナの命がけの行動は頑ななホセの心を動かした。プラナは少しは自分がここにいる意味を見出していた。
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