平和な時
プレツの都市スップに魔族に備えて残っているギン達はスップ内に魔物が潜んでいる可能性を念のため考慮し、様子見の為に街を歩いていた。
街中を歩いているとブライアンが声を発する。
「しかしよう、一時はこの街まで帝国軍がやってきてどうなるかっていう状況だったのによ、どうにかみんな普通に暮らしているからな」
「そうですね、あとは魔族との戦いを終わらせてみなさんが安心できるようにしないといけませんね」
エイムとブライアンのやり取りを聞いてからギンが2人に対して話しかける。
「それも大事だが再び帝国との戦いが始まらないようにすることも大事だ」
「しかしあのカイスがまたプレツや他の国に戦争を仕掛けるようなまねはしねえと思うぞ。そりゃあ帝国をまとめんのは大変だろうけどよ」
「
「そりゃあどういう意味だ?」
ブライアンの問いかけにギンは自らの考えを話す。
「ヨナ達がもし、グラッスの件を失敗すれば、いや例えヨナ達が成功させても帝国内でカイスを排除しようとする動きがある限り、いつまでも休戦状態を維持するのは難しいだろう、現に帝国から独立した地域も出始めているからな」
「だけど帝国内のことはカイスがどうにかしねえといけねえし、帝国との交渉はもうプレツのお偉いさん方がするんだから俺達は魔族と戦う以外できることはねえぞ」
「せめて同盟だけでも早めに結べれば俺達にできることも増えるんだが」
ギンの考えではプレツと帝国の同盟が成れば物資の支援や軍事的な協力もでき、表立って帝国を支援できると以前ルルーが言っていたことを実行したいと思っているが、現実は思うように進まず歯がゆさを感じていた。
ギン達が街中の様子見に歩き回っている頃、スップより少し離れたミッツ教団が運営する孤児院ではプラナが洗濯物を外で干しており、マリンとアルも手伝っていた。
「ふう、やっと終わったわ、マリンちゃんもアル君もありがとうね、おかげで早く終わったわ」
「えへへ」
「まあ困ったら俺達が手伝ってやるからよ」
アルが自慢げに語っているとマリンよりツッコミが入る。
「でもアル君、ちょっと洗濯物を干すのが雑だったよ、それでマリンがもう1度して大変だったよ」
「プラナ姉ちゃんが言うなら分かるけど、何でお前がそう言うんだよ」
「だってマリンはアル君のお嫁さんになるんだから、アル君ももう少ししっかりしてもらわないと」
「だから、何でそんな風に勝手に話を進めてんだよ!」
2人のやり取りを穏やかに見つめるプラナであったが、自身に危機が迫っている事をまだ知らなかった。
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