出発準備
ジエイの提案、ギンの助言、そしてルルーの訴えで、ヨナはジエイ達を私兵として偽装し、グラッスへの介入を決意する。
決意を伝えたヨナに対し、ジエイが呼びかける。
「そういう事なら、すぐに出発の準備をしましょう、まだ侵攻軍は国内にとどまっているでしょうが、時間の問題です」
「そうだね、あんたらすぐに馬車の準備をして!」
「分かりやした!」
傭兵達が馬車の準備をする為に、教会を出ると、ギンがジエイ達に声をかける。
「頼むぞ、ジエイ、ウィル、ミニル、今回ヨナは旗頭の役割だからあまり無理をさせないでやってくれ」
「ええ、先程のルルー殿の言葉通り、力の部分は我々が、正しい思いをヨナ殿に訴えてもらい、現地で更なる協力者を募りましょう」
ジエイの言葉が気になってウィルはジエイに対し、疑問を投げかける。
「なあ、ジエイ、俺達が私兵として戦う事に文句はないが、ヨナがトッポックス領主の娘ってことを信じてもらえるかどうかも大事だし、例え信じてくれても協力してもらえるのか?」
「陛下の文はもう1枚あり、グラッスの現在の政治状況の事が記されていました」
「どんな内容なんだ?」
「直轄地としたトッポックス領で特に顕著なのですが、まず戦費を賄う為の増税と、兵役の義務を更に強化したようです」
ジエイの言葉を聞いて、ミニルが反応をする。
「そんな、ひどいわ。前の帝国だってそこまでの圧政はしてなかったはずよ」
「これにより民衆や兵には不満がでてきたはず、そこを上手く突ければあるいは……」
一連の流れからギンは現在のグラッスに疑問を抱き、言葉を発する。
「しかし妙だな……」
「ギン殿?」
「奴らは自らで土地を枯らしているようなものだ、これでは例え帝国に勝利したとしてもグラッス国内は相当疲弊し、生産力もガタ落ちだぞ」
「既にグラッスの側近は自らの土地への執着がないと?」
ジエイの問いにギンは自らの考えを話す。
「帝国側の内通者、いやこの場合むしろグラッス側がカイスに反発する領主達の話に乗って、新たな領地に目がくらんだかもしれないが、元の土地を捨てるようでは意味のない話だ」
「確かにそれは妙ですな、それも探りを入れる必要がありますな」
「ああ、頼む」
ギンとジエイがやり取りをしていると、傭兵の1人がヨナに声をかける。
「姉御!準備ができやした!」
「お疲れさん、さあ行くよ!」
複雑なグラッスの情勢の中、いよいよヨナ達はグラッスへと向かう。
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