魔法のぶつかり合い

 ウィルは帝国兵を水の短剣で次から次へとなぎ倒していくが、続けて弓隊の攻撃が来る。


 弓矢をミニルの風の楯が防ぎ、更にそのまま攻撃に転用し、兵士達が風に巻き込まれていく。


「助かるぜミニル。お前の風の楯は便利だな」

「兄さんがこう何度も前に出過ぎてフォローする方の身にもなってよ」

「仕方ねえだろ、俺は接近戦専門だからな」

「それでも前に出過ぎなのよ」


 ウィルとミニルの口げんかにヨナが大きい声で叫ぶ。


「こら!無駄口叩くな!敵はまだいるからどんどんいくよ」

「まったく右からミニル、左からヨナとは耳がおかしくなりそうだぜ」

「兄さんのせいで私まで怒られちゃったじゃない。もう、いくわよ」


 気を取り直し、ウィル達が兵をなぎ倒している頃、ムルカは魔導師団に対し、肉体強化魔法を使い懐に飛び込もうとしていた。


 その様子を見たエンビデスが部下に指示を出す。


「皆の者、奴を近づかせるな。魔法を放て。奴の魔力はそう長くはもたんはずだ」

「はっ!」


 エンビデスの指示を受けた魔術師達は魔法を放ちムルカを攻撃するが、ルルーも魔力障壁を張り、魔法は通じず、そのまま何名かの魔術師を体術でなぎ倒していく。


「ならば、我が魔法で葬ってくれるわ」


 そう言うとエンビデスは呪文の詠唱を始める。


「風を司りし者よ、古の盟約に従ひて我の望みに応えよ。風を刃とし彼の者を切り裂き給へ。風の刃ウインドカッター!」


 エンビデスが呪文の詠唱を終えると、風の刃がムルカへと向かっていく。だが別方向より更に風の刃が現れ、エンビデスの風の刃を弾き飛ばす。


「むう、この魔法は、やはりお前か」


 エンビデスが目をした先にはエイムがいて、エイムに声をかける。


「部下より報告は受けている。お前はやはりかつて私の部下だった者の娘のようだな」

「……そのようですね」

「お前の魔力は私をも上回る素質を秘めている。我が帝国に協力し魔族をねじ伏せる気はないか?」

「あなた達が今からでも戦いを止めてくれれば協力します。だけど侵攻を続けているあなた達には強力する気はありません!」


 エイムの強い反論の言葉に対し、エンビデスが自らの考えを話す。


「我らは全てを統一することで魔族に対抗しようとしている。今戦いを止めたところでよからぬことを考える者が魔族との戦いに乗じぬとも限らん」

「だからといって、その間にどれだけの犠牲がでるんですか!せめて私達だけの戦いだけでも早く終わらせるべきです」

「お前が、お前達がその考えを通したければ我々に勝ってみるが良い。できればお前を殺したくはなかったが、逆らうというなら止むを得ん」

「そこまで言うなら私達もこの戦い絶対勝ちます」


 互いの主張を通すべく2人の魔術師は戦いに臨む。エイムの魔法はエンビデスに通じるのか?

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