伝える意思

エイムはルルーに自らがギンと魔導騎士団のプラナが兄妹であると思った事、感じた事を話す決意を打ち明け、ルルーもまた自らの考えをエイムに伝える。


「あなたの気持ちは分かったし、私も兄妹同士の殺し合いなんて悲しみしか生まないとは思うわ、でも……」

「でも……、何ですか?」

「この話をギンが信じない可能性もあるわ。いくらなんでも突拍子が無さすぎるし、そこをどう乗り越えるかね」

「確かにそうですね。でもまずは私が思った事を伝えます」


 突拍子の無い話ではあるが、それでもエイムはギンに伝える強い意志を示し、そんなエイムに対しルルーは言葉をかける。


「分かったわ。とりあえずあなたの思うようにしてみて。困った事があったらまた相談してね」

「ありがとうございます、ルルーさん」

「それじゃあみんなの所に戻りましょう」

「はい」


 そう言って、エイムとルルーはギン達が泊っている宿に戻っていく。その道中でも話をしている。


「ルルーさん、明日にはこの街を発つんですか?」

「そうね、でも私は昼くらいまでは休んでいこうと思っているから」

「それじゃあ、出発までにギンさんに話そうと思います」

「そんなに慌てて大丈夫?事が事だし、そんなに焦らなくてもいいんじゃない」


 ルルーはエイムが焦っているように感じたが、エイムの考えは違うものだった。


「いいえ、またいつ帝国軍と戦うか分からないし、早く言わなくてはいけません」


 エイムの強い言葉にルルーは頷いて納得する。


「あなたがそこまで言うなら、もう何も言わないわ。ギンが信じてくれるといいわね」

「はい」


 宿に近づくと宿の前に人影が見える。


 更に近づくとそこにいたのはギン達であり、ブライアンがエイム達に声をかける。


「おお、やっと戻ったか」

「みんな、どうしたの?」


 ルルーの疑問に対しムルカが返答をする。


「みな、貴殿らの帰りを待っていたのだ」

「そうでしたか、わざわざありがとうございます」

「礼には及ばん。大丈夫だとは思ったが、無事を確認してから部屋に戻ろうと思ってな」


 ムルカがそう言うと、今度はギンがエイムに尋ねる。


「エイム、魔導書は買えたのか?」

「え、ええ、ああそれですか、うーん、今は焦って買わなくてもいいと思ったので、やめました」

「そうか……いや、それならいいんだが」


 エイムが必死にごまかすのをヒヤヒヤしながらルルーが見ていたが、今エイムの胸の内を知る者としては複雑な気持ちでもあった。

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