明かす決意
ピトリ国内のアイルの港町に戻る道中でギン達は1つの街に立ち寄り泊っていくこととした。
宿に泊まる直前にエイムがルルーに声をかける。
「ルルーさん、少しいいですか?」
「私?何かな?」
「お腹が空いたんで、一緒にご飯食べませんか?」
「え?」
エイムの食事の誘いにルルーは戸惑うがブライアンが口を挟む。
「メシなら、宿で俺達とも一緒に食えばいいじゃねえか」
「あ、わ、私ちょっと買いたい魔導書があって、その相談を……、皆さんは宿で召し上がって下さい。それじゃあ行きましょルルーさん」
エイムのやや強引な誘いではあるが、ルルーが応じる。
「え、ええ……」
その言葉と共にエイムとルルーはギン達の目の前から姿を消す。
その様子を目の当たりにしたヨナは言葉を漏らす。
「何かエイム、いつもと違うよね」
「うん、私もそう思う。魔導書が買いたいならもう少し早く買う事もできたはずなのに」
ヨナの言葉にミニルが同意すると、ムルカが一同に声をかける。
「まあ、ルルーが一緒だから大丈夫であろう。我々は先に食事を摂ろう」
「そうですね、ギン殿、我らも参りましょう」
ジエイが呼びかけるとギンが応じる。
「……ああ」
ギンは唐突なエイムの行動に戸惑いつつも、他の仲間と食事に向かう。
一方、エイムとルルーは街中の食事処に行き、テーブルにつくとルルーがエイムに尋ねる。
「それで私に話って何かな?まさか本当に魔導書の相談じゃないわよね?」
「実はギンさんとあのプラナって人のことを話したくて」
「2人が兄妹かも知れないって話?さっきもプラナって騎士がバンス将軍の死について悲しんでいたことについて言ってたけど」
「……私、考えたんですけど、ギンさんに話そうと思います。私が思った事、感じた事を」
エイムが打ち明けた話にルルーは驚くが、真意を尋ねてみる。
「え⁉ギンに話すの?急にどうして、前は話すのを迷っていたのに?」
「あの時はギンさんが苦しむ姿を見たくないのと、確証もなかったというのがありましたが、私は別の可能性も頭に浮かびました」
「別の可能性?」
「もし、ギンさん、そうでなくても私達の誰かがあの人の命を奪って、その後に知ってしまったら……」
エイムの表情が曇っていくのを見たルルーはエイムの言わんとすることの続きの言葉を言う。
「苦しいわよね……、あなたの気持ちは分かった。でも今戦う事は止められないわ」
「私達と帝国との戦いが止められなくても、せめてあの人だけでも……」
「説得したいのね」
「はい」
エイムはギンにとって唯一の肉親かもしれないプラナ、その説得に力を注ぐことを決意する。
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