武人と誇り
ギン達とバンス将軍の副官であるブリードが指揮する部隊が戦闘を繰り広げている中、突如その戦場にバンス将軍が自らの従士と私兵を率い現れた。
その様子にブリードが戸惑い、思わず尋ねてしまう。
「バンス様、何故こちらへ?」
「何故?だと、こやつらを始末する戦いにわしが指揮を執らんでどうするというのだ」
「しかし、今はピリカ様の婚姻の儀が行われているはず。今からでもお戻りください」
ピリカと婚姻の儀という言葉が聞こえ、ブライアンが反応を示す。
「ピリカ?婚姻の儀?どういうことだ?」
ブライアンの疑問に対し、ムルカが自身の考えを述べる。
「おそらく娘の事であろう、以前に戦った時に娘がいることを話しておった」
「娘が結婚するっていう時に俺達と戦おうっていうのか、何て野郎だ」
ブライアン、ムルカがやり取りをしている中、更にブリードはバンスに訴える。
「ピリカ様はバンス様に花嫁姿を見て欲しいと願っておるはずです!奴らは我らの命に代えてでも止めてみせます」
「……ブリードよ、我が軍が不利なのは目に見えておる。それなのにわしだけ逃げろというのか!」
「バンス様……」
「ブリードよ妻を失ったのはわしの浅はかさが原因であった。戦争で伴侶を失う辛さをピリカにまで味わってほしくない」
バンスの声が聞こえ、ムルカが声を漏らす。
「バンス将軍……貴殿は……」
そしてバンスはブリードに対し力強く宣言する。
「我ら帝国1強を実現させれば、ピリカもわしのような思いをせずに済む。その為にはこやつらが邪魔なのだ!だからわしはこやつらを成敗する!」
「承知しました、このブリード、最後までお供いたします」
「よくぞ言った。それでこそ我が副官だ!奴らを返り討ちにするぞ」
「おーーーー!」
バンスの檄に将兵の士気が上がり、ギンが一同に呼びかける。
「気をつけろ!敵の士気が上がった!」
ギンの声を聞いて、ルルーがエイムに呼びかける。
「エイム、魔法は?」
「契約魔法を使う程の魔力はありませんが、基本魔法なら回数使えます」
「私も一緒に魔法を放つわ」
「お願いします!」
そう言ってエイム、ルルーは共に風魔法を敵兵に向けて放った。
その風に多くの兵が吹き飛び、足並みが乱れる。
その隙を突き、ブライアンが斧でブリードに切りかかる。
「おおりゃああ!」
ブリードは剣で受け止めるがブライアンの怪力の前に剣が折れてしまい、更に身体に斧が当たる。
咄嗟にかわし、急所を外したかに思えたがブリードの身体からは血が多く出ており、その場に倒れこむ。
「ブリードーーー!」
「ど……どうや……ら、こ、こまでの……よ、うです……どう……か」
最後の言葉を言いきらぬままブリードは絶命し、その生涯を終えた。
バンス将軍の副官として戦場を駆け回った男の最後である。
「貴様ら……こうなれば1人でも多く道ずれにしてくれるわーーー!」
怒りに震えるバンス、とうとう決着の時が近づいている。
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