魔法戦士ギン

次なる動き

　ピトリとの同盟を断られたギン達であったが、途方に暮れている暇などなく次の行動についての話し合いを街の外に出てしていた。ループ、ゲンジ、それぞれの馬車をヨナの傭兵団の団員が取りに行っており、来るまでの間に方針を固めることとしたのだ。まずルルーが一同に対し言葉を発する。

「みんなそれぞれ考えがあるとは思うけど、私達は次の行動を決めなくちゃいけないわ」

　ルルーの発言に対しブライアンが尋ねる。

「次の行動って言ってもよ、なんか考えがあんのか？」

「ええ、私は選択肢は２つあると思っているわ。1つはプレツに戻って次の同盟交渉国を決めること」

「帝国包囲網を広げるってわけか。もう1つは？」

「もう1つは司祭様に話して国王陛下に帝国への遠征を進言してもらうわ。もちろんスールやグラッス、場合によってはコッポからも援軍を出してもらってね」

　ルルーの発言に対しジエイが返答をする。

「ルルー殿、1つ目は分かりますが、もう1つの方法はピトリと盟を結んだうえで実行するはずだったのでは、今の状態で反攻作戦など大丈夫なのですか？」

「今帝国は遠征軍の編成が難しいうえ、本国から遠い支配地では反帝国勢力が息を吹き返しているっていう話を聞いたわ」

「確かに、あの補給拠点はプレツを直接睨む水軍の為だけではなく、飛び地に対する中継地点にもなっておりましたな」

「きっと今なら反帝国勢力にも勢いがありこの戦いにも勝機があると思うの」

　ルルーの考えに対し、ヨナがまた別の意見を述べる。

「確かに今の勢いなら勝てるかもしれないね、但し、全（・）兵（・）力（・）を出せた場合の話だけど」

「それってどういう意味なの？」

「あたしはグラッスが素直に全兵力を対帝国には注がないと思っている。とりあえず同盟国として出しましたの体裁を整える位にしか出さないんじゃないかな」

　ヨナの言葉に対しミニルが疑問を抱き、思わず尋ねる。

「ヨナは確かグラッスの出身だったわよね、何かそう思う理由があるの？」

「グラッスにいた頃にあたし達を雇っていた領主様の意見を数で封じただけじゃ飽き足らず、その領主様から無理やり領地を奪うような奴らのいいなりなんだよ今の王様は、だから帝国との戦いだってどうするか分かっちゃもんじゃないよ」

　ヨナの言葉を聞いてルルーが声をかける。

「ねえヨナ、あなたにとってはグラッスは色々辛い思い出のある場所だとは思う。グラッスの国王や側近を許せとは言わないわ。でも帝国に対抗する意思があったから私達と同盟を結んだと思うわ」

「ごめん、変な事言っちゃって。ルルーの立場も考えずに」

「ううん、私は自分の役割を果たしているだけだし、あなたにも自分の考えがあるから」

　ルルーとヨナの話を聞いて、ギンがルルーに声をかける。

「ルルー、もう1つ選択肢はある」

　ギンが示す3つ目の選択肢とは？