ブロッス帝国大激戦
仲間との再会
魔導騎士団が作戦の失敗を知り、撤退していった後もブライアン達はギンとエイムが戻って来るのを待つために森の前へと留まっていた。
そんな状況の中、ヨナが言葉を発する。
「まだかなあ、ギンとエイム」
「森の奥まで追いかけたとしたら、すぐには無理かもしれないけど気長に待ちましょう」
ルルーがヨナに返事をすると森から音がして、ヨナが反応をする。
「エイム?ギン⁉」
ヨナの言葉に反応して返事をする。
「えっ?いや私ですが……」
返事をしたのはジエイであり、森から脱出したのである。
紛らわしさを感じたブライアン、ヨナ、ウィルがジエイに対し抗議をする。
「お前なあ、少しは空気を読めよ」
「あたし達、ギンとエイムを待っているんだよ」
「帰って来るなら、もう少しお前だって分かるようにしろよ」
3人の抗議にあっけにとられるが、すぐにムルカがフォローする。
「皆、貴殿を心配していなかったわけではないが、エイム殿、そして救出の為に追撃をしたギン殿がより心配であったのだ」
「そうでしたか……、私は突如逃げ出した者がいたので追いかけてきたのですが」
ジエイの言葉に反応し、ルルーが尋ねる。
「それってもしかしてそのアビィって魔術師が戦死したことを魔導騎士団に知らせに来た魔術師?」
「しかし、私と戦っていた魔術師は戦闘中に慌てて逃亡したのですが」
「もしかすると魔力が消えて、それで戦死したと判断して逃亡したのかも」
ジエイとルルーがやり取りをしていると再び森から音がする。
「ん?」
一同がふと森の方を目にするとギンとエイムがいた。
2人を目にすると一同が駆け寄り、ルルーが最初にエイムに声をかける。
「エイム、その大丈夫?」
「……少し疲れています。それに……」
「それに、何?」
「いろんなことがありすぎてちょっと頭と心が追い付きませんが皆さんに話さなくてはいけないことがあります」
エイムはアビィ、そしてギンより聞かされた自らの出生の秘密について話した。ボース国に仕えていた魔術師の子であるという事、その両親がボース王により謀殺されたこと、自身は実の両親には逃がされ、その後コッポの村に住む両親に拾われ育てられたという事を。
「何だよ、それひでえ話じゃねえか」
ブライアンが言葉を発した直後ルルーがエイムに言葉をかける。
「エイム、私は今あなたに何て言ってあげていいかは分からない。でも……」
ルルーが何かを言うのを迷っている中、エイムが言葉を発する。
「辛くないと言ったらウソになります。でもそれでもコッポの村のお父さんとお母さんに拾ってもらえて事、皆さんと会えたことは良かったと自信を持って言えます。だから変に気を遣わないでください」
エイムの言葉を聞いて、ブライアン、ルルー、ウィル、ミニルがそれぞれ言葉を発する。
「エイム、ああ、そうだな。お前の言う通りだ」
「エイム、やっぱりあなたは強い子よ。少なくとも私より」
「お前がそう言うんなら信じるしかないじゃないか」
「辛いときは話位なら聞くから」
エイム達がやり取りをしているなか、ムルカがギンに声をかける。
「ギン殿はどう思っておる。エイム殿の言葉を?」
「エイムは自らの意思で俺達と共に戦っているんです。例え血の上では帝国の者の子であっても」
「そうだな」
この光景にヨナはふと呟く。
「血……か」
ヨナの呟く声が聞こえたジエイがヨナに尋ねる。
「何か思う事があるのですか?」
「ジエイ……、いや、なんかすごいなって思っただけだよ」
「そう……なのですか」
様々な思いを抱えながらもギン達は前進していく。よりよき未来の為に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます