引き際
ギンとエイムが魔術師アビィとの戦闘を終えている頃、残りの仲間達は魔導騎士団との戦いを継続していた。
カイスと一騎打ちをしていたブライアンにはムルカが加勢し、プラナと魔導騎士団の面々に押されていたルルーをヨナ達が救出し、形勢はブライアン達が盛り返していた。
帝国の屈指の腕前を持つカイスでもブライアンの怪力とムルカの体術には押され始め、プラナも部下をウィルとヨナの部下達に攻撃で撃退されていき、プラナだけではルルーやヨナ達に太刀打ちはできないでいたがなんとかアビィの逃走までは時間を稼ぐことを目的に戦っていた。
「くっ、このままでは我らが不利か」
そう呟くカイスの前に1人の魔術師が現れた。
「カイス団長⁉こちらにいらしていたのですか?」
「魔導師団の者か、いかがした?」
カイスの問いに、感情を押し殺しながら報告をする。
「はっ、我ら魔導師団のアビィ様が戦闘の果てお亡くなりになられました……」
その報にまっ先に反応したのはプラナであり詳しく尋ねる。
「何だと⁉アビィ殿がか、まさかあの剣士にか?」
「はい、そのようにございます」
プラナもアビィといさかいはあったが、やはり帝国軍でも立場の近い者の死には思う事があるようだ。
だがその報告を受け、カイスがその場にいる者達に命令を下す。
「もはやこれ以上の戦闘はただの消耗戦でしかない。プラナ、撤退しトーラス達と合流するぞ!」
「はっ!」
カイスの撤退命令に力強く反応し、部下にも撤退を促す。
「皆の者、これより撤退する!命を拾えるものは拾え!生きてこの雪辱を果たすのだ!」
撤退しようとするカイスに対し、ブライアンが言葉を放った。
「待てよ!このまま逃げるのか!」
「指揮官にとっては引き際の見極めも重要なのだ、いずれ貴様らとは決着をつけてやる。精々生き延びるのだな」
カイスはそう言って右手より雷の魔法を放ち、ブライアンをひるませその場を後にする。
ブライアン達が辺りを見渡すと動ける魔導騎士団の者達はすでに姿がなかった。
「ちきしょう!相変わらず逃げ足の速い奴らだぜ」
「だが、魔導師団の者が戦死したという事はおそらくエイム殿の救出は成功したはず。これ以上の戦闘は我らにとっても無用だ」
ムルカの言葉を聞いて、ルルーが返答をする。
「ムルカ様のおっしゃる通りだと思います。エイムの救出に成功したなら無駄な戦闘は避けるべきです」
「エイムを助けられたならどうする?あたしら全員で迎えに行く?」
「ここで待ちましょう、エイムは帰って来るわ。ギンと一緒に」
その場で一同はエイム、そしてギンの帰りを待つこととする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます