勝利と安堵
エイムの魔法を魔力障壁で防いだものの、魔力の勢いで身体が吹き飛び身体全身に痛みの走るフィファーナに部下が治癒魔法をかける。
「いかがでしょうかフィファーナ様?」
「ああ、大丈夫じゃ。しかしなんという魔力じゃ、帝国でもこれ程の魔力を持つ者はエンビデス以外にはおるまい」
エイムの魔力に戦慄するフィファーナの元に部下からの報告が届く。
「フィファーナ様!申し上げます!」
「なんじゃ⁉まだ戦闘は続いているというのに」
「補給拠点が敵の手に落ちました」
「何じゃと⁉」
驚くフィファーナに対し、部下は更に報告を続ける。
「それに伴い水軍も戦線を維持できず、全軍本国への帰還を始めました。このままでは我らは孤立してしまいます。いかがなさいますか?」
補給拠点が落ちること、それは即ち本国と前線への補給の為の中継地点が消えてしまったということだ今後のプレツ侵攻に際しての補給は難しくなり、侵攻そのものにも支障がでてしまう。あらゆる条件を考慮し、フィファーナが決断を下す。
「皆の者、悔しいが、ここは退くぞ!」
そう言って、フィファーナは部下と共にその場の離脱を始める。ブライアンが追撃を試みるがムルカに声をかけられる。
「ブライアン殿!追う必要はない!」
「いいのか?今なら奴らの戦力を大きく削れるぞ」
「我らの目的はひとまず達成できた。下手に追えば罠があるやも知れぬ」
ムルカは逃走ルートにも敵の罠があることを考慮し、あえてその場での追撃を控えるよう伝え、ルルーも賛同する。
「ムルカ様のおっしゃる通りだと思います。だからブライアン、私達もスップに戻りましょう」
「ま、そこまで言うなら仕方ねえか」
魔力を大量に消費したのと戦いが終わった安堵感でエイムがその場に座り込み、ヨナが駆け寄る。
「ちょっとエイム、大丈夫?」
「すいません、ちょっと疲れただけですから」
「じゃあ、歩ける?」
「はい、なんとか」
エイムは自力で立ち上がり、ブライアン達と共にスップへと戻っていく。その途中でなにやら会話をしているようだ。
「さっき、フィファーナの部下が補給拠点が落ちたって言ってたな」
「じゃあ、ギンさん達も作戦が成功したんですね」
エイムの言葉にルルーが返答をする。
「そういうことになるわね。教会でギン達の帰りを待ちましょう」
「はい」
「あ、そうだ心配していたと思うし、マリンちゃんも呼ぶ?」
「そうですね、無事に帰った姿を見せたいですね」
陸と海、それぞれの場所で勝利を収めた一行は仲間と再会するべくそれぞれの道から戻っていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます