補給を絶て
スップにあるミッツ教団の教会にかつて海の傭兵として名を馳せたボガードの子であるウィル、ミニルを連れ、ギン達は補給拠点の無力化の作戦の話し合いをしていた。
ルルーが事前にギン達と話していた作戦内容を説明する。
「では、帰りの道中で事前に話していたのですが、ボガード氏の所有する船に比較的小さめの船があり、それをウィル殿が操舵し、ミニル殿が補佐をします」
ルルーの説明を聞き、二フラが尋ね返す。
「先程おっしゃっていた精霊の声を聞きながら渡航をするというわけですね」
「はい、彼らは水、風の精霊の声を聞けるので、渡航そのものは安全であると思いますが、これから決めるのは彼らと同乗する者ですが……」
ルルーの言葉を聞いてギンが言葉を発する。
「まず1人は俺が乗ろう」
「ギン、あなた海の戦いもしたことがあるの?」
「いや、ない。だが、作戦を発案したうえ傭兵という立場である以上、俺が乗らないわけにはいかないだろう」
「分かったわ。お願いね」
ギンの申し出を聞いて、ジエイも申し出た。
「ギン殿、私も船に乗りましょう。隠密作戦なら私の得意分野ですから」
「そうだな、お前の忍術は戦いになった時も役に立つだろうから頼むぞ」
「承知」
2人のやり取りを聞いてエイムも声をかける。
「じゃあ私も行きます」
「いや、エイムは残ってブライアンやルルー達と一緒にフィファーナ将軍の部隊を迎え撃ってくれ。スールの時と違って大部隊で攻めてくるだろうからここの戦力は少しでも多い方がいい」
「分かりました。ギンさん達も気を付けて下さい」
それぞれの話を聞いて改めて司祭が話を整理する。
「ではウィル殿達と船に乗るのがギン殿とジエイ殿で、他の方は帝国軍本隊を迎え撃つというわけですね」
「はい、私はそれで良いと思います」
司祭とルルーの言葉を聞いて二フラは2人に声をかけた。
「では私は兵をまとめ防衛戦を張ってきます」
「お願いします」
詰所に戻ろうとする二フラにブライアンが声をかける。
「隊長!この街を頼みます。俺達はフィファーナ達を絶対に倒します」
「お前と皆さんの武運を祈っている」
「はい!」
ブライアンの返事を聞き、二フラは詰所へと戻る。
そのタイミングを見てギン達はウィル達と教会を発つ準備を始める。
「じゃあみんな、俺達も出る。あとを頼むぞ」
「ギンさん達も無事でいてください」
「エイム、互いの無事を祈ろう」
「はい!」
ギンとエイムがやり取りをしている中、ジエイが声をかける。
「ギン殿、そろそろ参りましょう」
「そうだな、じゃあ行ってくる」
そう言って、ギンはジエイ、ウィル、ミニルと共に教会をあとにする。
後戻りのできない作戦が始まろうとしている。
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