傭兵契約

 ヨナよりの謝罪の言葉を受けたギン達、その謝罪を受けギンがルルーに対してある事を提案する。


「ルルー、俺からこいつらに対する提案があるんだが」

「何かな?」

「こいつらと傭兵契約を結んではどうだろうか?」


 ギンの突拍子もない提案にルルーは戸惑うが、しっかりと理由を尋ねる。


「え、ちょっと待って。どうしてそうなるのかな?あなたの事だから考えがあるとは思うけど」

「先の戦いは思わぬ苦戦を強いられた。もちろん魔導騎士団が強かったのもあるが、俺達はただでさえ少人数にも関わらず戦力を分散して奴らにあたったことが要因だと思う」

「確かにそうね、あなたがあんな無茶な戦い方をするくらいだから」

「俺達の人数不足を補うにはこいつらと傭兵契約を結ぶのがいいと思うのだが」


 改めてギンより説明を受け、ルルーは言葉を発する。


「あなたの言う事は分かったわ。でも彼女達は一応ここの領主に雇われ……」


 ルルーは自分の言葉の途中で何かに気付き、改めて言い直す。


「そういう事か……まったく、本当にあなたって人は……」


 ルルーが1人納得している様子を見て事態が呑み込めないブライアンはルルーに尋ねる。


「おい!何1人で勝手に納得しているんだ。分かるように話せよ」

「あのね、彼女達は領主に雇われていたけど、その領主の指示で私達から通行料をとろうとしたでしょう」

「おお、そうだな」

「だけど、もうその領主はプレツとグラッスの同盟を頓挫させかけたことで領地を没収される可能性もあるわ。ギンはそれを見越して私達で雇わないかって提案してきたの。分かった?」


 ルルーの説明を聞くが、釈然としないブライアンがルルーに言葉を放つ。


「だけどよ領主の指示とは言え、あいつらが俺達から金を巻き上げようとしたんだぜ。それをなあなあですましていいのか?」

「それについては私も同感だけど、私達に裁く権利はないわ。ただ……」

「ただ、なんだ?」

「さっきのエイムと彼女……、ヨナの会話を聞いてギンは彼女が本当は善良な人物だと思ったから私にあんな提案をしてきたんだと思う」


 ルルーの話を聞いて、ブライアンが少しぼやく。


「まったくあいつは不愛想なくせにお人好しだからややこしいぜ」

「そうね、私もそう思うわ」


 ルルーはそう言うと、ムルカの方に話を振る。


「ムルカ様はこの提案どう思われますか?」

「貴殿の判断を尊重する」

「そうですか、では……」


 ルルーの決断とは?

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