魔力コントロール

 エイムが使用した攻防一体型の魔法に戦慄したプラナは部下の兵士たちに指示を出す。


「皆の者、下がれ!魔法の持続時間が切れるまであの男には近づくな。念のため遠距離からの攻撃もひかえよ」

「はっ!」


 プラナの指示に兵士は応え、ブライアンより距離をとるが、自らから距離をとる兵士に対し言葉を発する。


「どうした、逃げるのか。帝国屈指の精鋭は臆病者の集まりだったのか」


 ブライアンの挑発じみた言葉に兵士は激昂しそうになるがプラナに咎められる。


「何を!」

「よせ!死にたいのか!」

「はっ!申し訳ありません」


 兵士を咎めたもののプラナ自身も魔法の攻略に戸惑っていた。判断をわずかにでも誤れば部隊壊滅の要因になりかねないからだ。その様子を見たブライアンがプラナ達に接近していく。


「そっちがこねえならこっちから行くぜ!」


 そう言うとブライアンはプラナに対し斧を振りかざすがプラナはそれをかわすことに成功する。しかし、斧により地面が通常より深くえぐれていることに思わずブライアンに言葉を発する。


「なんという怪力だ。まさか貴様、強化魔法を使っているのか?」

「あいにく俺は魔法の素養はないんでな。俺自身の力だ」

「恐ろしい奴、だが力のみで私に勝てると思うな」


 そう言って剣を持ってない左手からプラナは火の魔法をブライアンに向けて放とうとする。もはや持続時間が分からない以上攻撃に転じるしかないと判断したのだ。


 しかし、ブライアンを救うためにルルーが風魔法をプラナに向けて放った。自らに対しての攻撃を感じたプラナは火の魔法を引っ込め、魔法障壁を自らの体の周りに張り、ルルーの魔法を防ぐことに成功する。


 ルルーの攻撃魔法を防ぐことに成功するが予想外のルルーの攻撃力に驚愕する。


「あの聖職者、治癒魔法専門ではないのか、確かに少数とはいえこれほどの戦力があればバンス将軍やフィファーナ将軍の部隊でも撤退に追い込まれるのも説明がつく」


 その一方でルルーはプラナの持つ能力に感嘆した。


「すごいわね、あの士官」


 ルルーが何を言いたかったのかが分かったのかエイムはルルーの言葉に同意する。


「そうですね」

「エイムも気付いたのね。あの士官、ブライアンに対して攻撃魔法を放とうとしたけど私が魔法を放つことに気付いて、咄嗟に攻撃魔法を引っ込め、魔力障壁を張ったわ。判断力もすごいけど、魔力コントロールが優れているわ。それこそ、ギンやジエイ、ムルカ様みたいにね」

「ギンさんやジエイさんは分かりますが、ムルカ様はブライアンさんみたいに、魔法を使わず戦うお方じゃないんですか?」

「そういえばエイムはムルカ様の能力を知らないのね。ムルカ様自身がお強いのはもちろんだけど。あの方は肉体を魔力強化で戦うエキスパートよ」


 ルルーの言葉の意味とは?

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