スールへの入国
プレツとスールの国境までたどりついたギン達であったが、以前のコッポとプレツの出入国と違って入国が厳しいものであった。プレツとスールは戦争状態でないものの、交易等もほとんど行っておらず、人の往来も少ないから出入国に慎重になっているふしがある。そんな中ルルーが国境の兵士に説明をしている。
「
「確かにプレツ国王、そしてミッツ教団司祭の印が書状に記されておりますし、あなた方は特使だということは分かりました。王宮は東ですのでお進みください」
「あなた方がご案内して下さらいのですか?」
「我々はここを離れるわけにはまいりませぬ。城下町に着けばそこに常駐している兵がご案内すると思いますので」
兵の言葉を聞いたルルーは感謝の言葉を述べ、その場をあとにする。
「ありがとうございます。皆様にもミッツ様の加護がありますように」
馬車を進めていくと森が見えてきた、森が見えたとたんブライアンがぼやく。
「何か入国したらすぐに森に出ることが多いなあ、どうにかなんねえのか?」
「仕方ないだろう、森なんてまだましだ。噂だとブロッスは城壁で国を囲んでいるらしい」
「何だそりゃ、徹底的だな」
ブライアンと会話しているギンに対してルルーが話しかける。
「ギン、ここから私が手綱を持つわ。少し休みましょ疲れたでしょ」
「ああ、すまない。だが良いのか?名目上護衛の俺が特使のお前に馬車を御させて」
「ここまで来て今更何言ってんのよ。みんなで助け合っていかないと、それに森の中でまでそんな建前気にする必要はないわ」
ルルーがそう言うと一旦馬車を止め、ギンとルルーの位置を交代する。
そしてルルーがループの手綱を握り、再度馬車が出発する。
馬車が進んでいくと森に1人の男が倒れている。最初に気付いたルルーが馬車を止め、全員に呼びかける。
「みんな見て!誰か倒れている」
その言葉を聞いた一同は馬車から降りて男に駆け寄る。ムルカがまず男の生死を確認する。
「生きてはおる。だが危険な状態だ。ルルー、怪我を治す治癒魔法を」
「はい」
ムルカの求めに応じ、ルルーは呪文の詠唱を始める。
「我を加護し神ミッツよ、わが信仰と力を糧に我の望みに応えよ。彼の者の傷を癒し給へ。
ルルーの手から眩い光が放たれ男の傷がみるみる治っていく。傷が治った作用か、男が意識を取り戻す。
「う……ううん……はっ!ここは!」
目を覚ました男にルルーが声を掛ける。
「意識が戻ったのね、あの大丈夫ですか?」
「あなた……方は?」
この男の正体とは?
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