34 収まりの付かなくなった、少年。

 好きな子がいたけれど告白もしなかった。


 合格したら告白して付き合おうと思っていた。


 僕は、如何して此処迄勉強に捉われていたのだろう。


 それほどまでに、僕は高校生活を投げ出さない決意で、努力し続けたつもりだった。


 けれど、僕は、事もあろうか。


 部活道の楽しさに目覚めさせられ、遂に精神が逝かれたのであった。


 最期の大会に敗れて僕は、酷く落ち込んで、それ以来塞ぎ込むようになっていた。 


 僕は、勉強のあまりしなくなった。


 只、悔しかったし、其れをばねにして勉強という気にもなれなかった。


 形の悪い終わりかただった。


 如何して、僕はあそこで、負けっぱなしで終わってしまったんだろう。


 如何して、関わり続けようと思えなかったんだろう。


 邪魔になるとでも思ったのだろう。


 敗北者が部活にいるだけでも迷惑だとでも思ってしまったのだろう。


 間違った選択だった。


 部活に通っていれば良かった。


 其れが出来なかった。


 何となく行きにくかったし、生きにくかった。


 あれからだな、気が億劫になっていったのも、もう分からなくなっていってしまったのも、青春が崩壊し始めたのも、この辺りからだ。


 僕は、一途なのだろうか、浮気者なのだろうか。


 そもそも、好きな人に告白して、其れが成立した経験がないから分からない。


 付き合い出すことも、そういった付き合いの仕方も分からない。


 高校時代は、好きな人が二人いたけれど、僕は其の両方に告白していない。


 実力が無かったからだ。


 模試で学年一位を取るだとか、部活で活躍するだとか、そういった事をして、そういった事が出来て、褒めてくれる誰かが必用だったのかも知れない。


 だから、僕は、彼女を創らなかった。


 僕は夢を語った。


 只、僕は、彼女たちに其れが実現した時に褒めてもらいたかっただけだ。

 好きだったから、僕は、彼女達と話した。


 付き合いたいとかはない。


 只、僕は、結果を残して、其れを頑張ったねと言われたかっただけだ。抱きしめてほしかっただけだ。母親の様に抱擁してほしかったのだ。


 僕は結果が残せなかった。


 だから口惜しいのである。


 負けている奴と付き合わせられない。


 結果を残す男でないと駄目なんだ。


 僕は失格なんだ。


 其れに、僕は最後の最後に投げ出した臆病ものだ。


 許せられるはずが無い。


 僕は、未だ自分を許していない。


 結果の出ない自分を許していない。


 有名になるとか、僕は自分の彼女として、彼女が誇れる人間になりたかった。


 高校時代の僕は少し勉強が出来るだけの人間だった。


 だから、僕は駄目な人間だったのだ。


 実力が無いと、実績が無いと駄目なのである。


 勉強も、大学に受かる迄は実力の程は分からないし。


 部活は勝たないと駄目だ。


 僕は、勝ちたいのである。


 此の儘では終われなかったのだ。


 終われなかった。


 勝ち組に成ろうと思う。


 如何にか、御金を手に入れて、勉強をし直して、もう一度やり直せないだろうか。


 僕はやり直したい。


 結果を残して、もう一度出来ないだろうか。


 受験と、其れから、部活動。


 いわゆるスポーツが、運動部だったから運動が。出来ないだろうか。


 僕は、文学部でも、無く運動部だった。


 文化部の人間に見えるかも知れないが、僕は運動部だったのである。


 こんな腐った考えの人間では無かったのだ。


 純粋な人間だった。


 純粋に、頑張る無垢な少年であった。


 あの、間違いを犯す迄は僕は真面目で実直な人間だった。


 努力かだった。サボらない人間だった。ストイックに頑張る人間だった。


 どうにかして、やり直そう。


 此れも、全て。


 ミスだ。


 間違いだ。


 選択のミス。


 誤り。


 親への反抗。


 家族への反抗。


 怒りの反抗。


 憎しみの反抗。


 御金が無いからだ。


 家に財産が無いから。


 大学進学に御金が掛かるから。


 将来が心配だったから、途轍も無く不安だったから、将来何で食べていくのか不安だったから、大学に行けば金が掛かる。


 その金は誰が払うのか、親である。


 其の親は呑気なもので、呑気だった。


 自分は、この様に呑気でいいのかと、思った。 


 御金の話になると私は不安になる。


 其れはやはり、私が、御金を創れていないからだろう。


 ずっと、言っているのは、親の愚鈍さであった。


 何時死ぬか分からない親。


 其の親の金を頼りにするしかない学生。


 不安だった。


 國からの助成金は無く。


 親が自腹で払うか、奨学金を借りるしかない、借りた御金は返さなくてはならない。


 私は、御金を借りるのは嫌いだし、どうにもならなかった。


 力が無いのである。


 祖父母は、金を貯めていた。


 おそらく、この祖父母の貯金が無ければ、この家は貧困する。


 どうにかしないといけない。


 僕は、如何にかしなければならないのである。


 どうにも出来ないのである。


 収入を増やすしかないのだ。


 金なんだ。


 子供の頃から分かっていた事だ。


 金が何と困る事位。


 僕は、金が無い。


 一銭も無い。


 どうにかしないと駄目だ。


 阿保に思えばいい。


 本当の話だ。


 金なんてどうにでもなる。


 確かに、働き口何て幾らでもある。


 どうにでもなる。


 けれど、労働者だ。


 大学受験はどうなる。


 まだ、諦めていないのだ。

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