第8話:メデューサ登場

■場所:祐子の学校のシャワー室■


(SE:シャワーの音)


祐子「(ヴァンパイアの騒ぎから5日、あれから他の四天王や魔王が現れたという情報はなかった。ヴァンパイアを棺桶に閉じ込めた日から、ミリューと佐和子は小金井公園で、棺桶を監視しつつ野宿しているそうだ)」


祐子「あー、今日は暑かったなー。部活の練習ですごく汗をかいたよー」


(SE:シャワー室の扉が開く音)


祐子「ぎゃーっ!!」


ミリュー「祐子、大変です!」


祐子「なんでいつも私が裸の時に来るんですか?!」


ミリュー「たまたまですよ」


佐和子「サービス、サービスぅ!」


ミリュー「今度は、魔界四天王の一人、メデューサが現れました!」


佐和子「今度は、立川駅北口だし」


祐子「なんで、中央線沿線ばかり…?」


佐和子「便利だからじゃね?」


祐子「四天王は電車で移動しているんですか?!」


ミリュー「さすがにそれは無いと思いますが…。そんなことより、立川駅に急ぎましょう!」


祐子「ちょっと! せめて、服着させてよ!」




■場所:立川駅北口■


(SE:駆ける足音)


佐和子「立川駅ついたし」


祐子「あっ! 通行人がみんな石になっている!」


ミリュー「メデューサの石化の呪いのせいですね。メデューサは、この近くに居るはずですから、気をつけてください」


祐子「とりあえず変身を!」


祐子、ミリュー、佐和子「“パトピラプンペフォポムール”!」


(SE:変身してるっぽいSE)


通行人「ぎゃー!!」


佐和子「あっちから悲鳴がするし!」


ミリュー「待ってください! メデューサを直接見ると石化してしまいます。後ろ向きで進みましょう!」


祐子「ええー。そんなんで戦えるの?!」


メデューサ「おや? その後ろ姿は魔法少女ミリューだな? 仲間もいるのか」


ミリュー「メデューサ、これ以上好きにはさせない! 観念しなさい!」


メデューサ「こっちを向いて話をしろ!」


ミリュー「そうはいかない! みんな! 後ろ向きで攻撃よ!」


祐子「ええーっ!?」


佐和子「ともかく、やってみるし!」


ミリュー「炎の嵐!」


(SE:炎)


祐子「“エクスペクト・パトローナム”!」


(SE:氷)


佐和子「食らえ稲妻!」


(SE:稲妻の音)


メデューサ「ははは、どこを狙っている?」


祐子「後ろ向きだと無理だよ!」


ミリュー「一旦、撤退して、作戦の練り直しよ」


祐子「練り直しって、そもそも作戦、全然考えてなかったじゃん!」


(SE:駆ける足音)




■場所:立川駅南口■


佐和子「南口まで逃げてきたけど」


ミリュー「うーん。どうしよう」


佐和子「打つ手なしじゃね?」


祐子「ねえ、ミリュー。この氷のスティックって、氷の塊を出すしかできないの?」


ミリュー「強く念じれば、もっと大きな塊も出るよ」


祐子「大きさが問題じゃあないんだよなー」


佐和子「何か思いついた?」


祐子「ちょっとね…。一か八かやってみよう!」




■場所:立川駅北口■


(SE:駆ける足音)


祐子「じゃあ、行くわね! “エクスペクト・パトローナム”!」


(SE:氷)


ミリュー「おお! 氷の壁が!」


メデューサ「これぐらいで、私を倒せると思うのか!」


祐子「これで少しずつ、メデューサを取り囲んでいくのよ。そして、最後は氷漬けに!」


メデューサ「ぎゃー!!」


ミリュー「え?」


佐和子「どったの?」


祐子「静かになった? まだ、氷の壁は1枚だけよ」


ミリュー「ちょっと様子を見てみよう…。あっ! メデューサが石になってる!」


祐子「なんで…? そうか! 氷の壁が鏡のようになっていて、メデューサは自分の姿をみて石になってしまったんだ!」


佐和子「なんか、あっけなかったし」


ミリュー「まあ、退治できたんだからこれでよし!」


祐子「石化していた通行人も呪いが解けて、元通りになったようですね」


佐和子「一件落着!」


ミリュー「でも、祐子すごいです!」


祐子「なにが?」


ミリュー「このメデューサの氷の鏡作戦も、ヴァンパイアのニンニク作戦も、サキュバスの看板落下攻撃も、祐子のアイデアです!」


祐子「メデューサの氷の鏡は、たまたまだけど」


ミリュー「そして、デュラハンの時は、祐子と、さわッチの連係プレイだったし」


佐和子「ミリューって、なんもしてないね」


ミリュー「ごめんなさい…」


祐子「まあまあ。でも、これで魔界四天王の全員倒したわ。あとは魔王のみ!」


佐和子「こんな感じじゃあ、魔王も大したことないんじゃね?」


ミリュー「油断は禁物ですよ!」


祐子「ところで、石化したメデューサはどうするの?」


佐和子「動かすには、重そうだし」


ミリュー「とりあえず、このままにしておきましょう」


佐和子「立川駅北口の新しいオブジェってことでいいんじゃね?」


ミリュー「私たちがメデューサの石化が解けないか監視するついでに、今夜からここで野宿します」


佐和子「じゃあ、グランデュオで段ボール漁りに行こうし」


ミリュー「賛成!」


祐子「私は家に帰ります…」


ミリュー、佐和子「またねー!」

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