第7話:ヴァンパイア登場

■場所:夜7時ごろ、祐子の自宅の風呂■


祐子「(サキュバスの騒ぎから5日、あれから他の四天王や魔王が現れたという情報はなかった。サキュバスを倒した日から、ミリューと佐和子は井の頭公園で、サキュバスの入った段ボールを監視しつつ野宿している)」


(SE:浴槽の水の音)


祐子「あー、今日も部活の練習つかれたなー。お風呂が癒されるー」


(SE:風呂場の窓が開く音)


祐子「ぎゃーっ!!」


ミリュー「祐子、大変です!」


祐子「今、お風呂中ですよ!」


佐和子「祐子、けっこう胸あんねー」


祐子「見ないでください!」


ミリュー「それどころじゃないのです! 魔界四天王の一人、ヴァンパイアが現れました!」


祐子「どこに?!」


佐和子「東小金井駅だし」


祐子「なんでまたそんなところに…?」


ミリュー「いいから早く向かいましょう!」


祐子「服、着させてよ!」


佐和子「そのまま変身すればいいんじゃね?」


祐子「あっ、それも、そうですね」


(SE:風呂から出る水の音)

(SE:風呂場の扉を開ける音)

(SE:ブレスレッドを付ける音)


祐子「よし! “パトピラプンペフォポムール”!」


(SE:変身してるっぽいSE)


ミリュー「じゃあ、東小金井へ、急ぎましょう!」




■場所:東小金井駅北口■


祐子「この格好で電車に乗るの、恥ずかしかった…」


佐和子「そだね。結構、注目されてたし」


ミリュー「さわッチ、ともかく、私たちも変身!」


佐和子「りょうかーい」


ミリュー、佐和子「“パトピラプンペフォポムール”!」


(SE:それっぽい変身SE)


ミリュー「それより、ヴァンパイアはどこ?!」


(SE:コウモリの大群の羽の音)


祐子「きゃーっ!」


佐和子「何これ?!」


ミリュー「ヴァンパイアが操るコウモリです! 近くにヴァンパイアがいるはず」


(SE:マントを翻す音)


ヴァンパイア「やあ、魔法少女ミリューじゃあないか。こんなところで会おうとは」


ミリュー「ヴァンパイア! 好き勝手はさせないぞ!」


ヴァンパイア「ふふふ。久しぶりに血が吸いたいぞ。ミリュー、お前とお仲間の血をいただくことにしよう…。いや、そっちの黒ギャルの血は、まずそうだからいらないな」


佐和子「は? 見た目で差別すんな! 私の血はおいしいし!」


祐子「そのアピール、変じゃない?」


ミリュー「ともかく、ヴァンパイアを倒しましょう!」


祐子「そうだね」


ミリュー「炎の嵐!」


(SE:炎)


祐子「“エクスペクト・パトローナム”!」


(SE:氷)


佐和子「食らえ稲妻!」


(SE:稲妻の音)


(SE:コウモリの羽の音)


ミリュー「邪魔なコウモリが多すぎて、うまく当たらない!」


ヴァンパイア「ふははは。大人しく血を吸われろ」


佐和子「くそー!」


祐子「ミリュー、ヴァンパイアには弱点はないの?」


ミリュー「知らない」


祐子「こっちの世界の吸血鬼は、結構弱点あるよ」


ミリュー「例えば?」


祐子「十字架とか、ニンニクとか」


ミリュー「ジュウジカ? ニンニク? 何それ?」


祐子「ちょっと試してみよう…。一旦、撤退!」


ミリュー「ええーっ!」


佐和子「ちょ! どこ行くのよ!」


(SE:駆ける足音)




■場所:東小金井駅南口にある中華料理屋■


(SE:中華料理屋の扉を開ける音)


祐子「ここの中華料理屋で餃子を食べるのよ!」


ミリュー「ギョウザって、何?」


祐子「ヴァンパイアが苦手なニンニクが入っている食べ物よ!」


佐和子「祐子、超頭良い!」


祐子「餃子3人前! ニンニク、増し増しで!」


中華料理屋の店員「へい! お待ち!」


祐子、ミリュー、佐和子「パクパク、パクパク…、パクパク、パクパク…」


佐和子「あー、お腹いっぱい」


ミリュー「美味しかったねー」


祐子「満腹だと眠くなるねー」


ミリュー「ん? 何か忘れてない?」


祐子「あ、ヴァンパイア!」


佐和子「北口に急ぐし!」


(SE:中華料理屋の扉を開ける音)


中華料理屋の店員「お客さん、お代!!」




■場所:東小金井駅北口■


(SE:駆ける足音)


ミリュー「ヴァンパイア、今度こそ倒す!」


ヴァンパイア「なんだ、戻ってきたのか」


祐子「私に任せて」


ミリュー「うん」


祐子「ヴァンパイア、私の血を吸ってみなさい!」


ヴァンパイア「ほほう。ならば望み通りにいただこう…。言っとくが、そっちの黒ギャルの血は、いらないからな」


佐和子「はぁ? 超MK5なんですけど?!」


ヴァンパイア「では、では…。うっ! この匂いは!」


祐子「ニンニクよ! はあはあ」


ヴァンパイア「近づくな!」


ミリュー「おおっ! 効いてる!」


佐和子「超おもしれー! アタシもやるし。はあはあ」


ヴァンパイア「ぐおー」


祐子、ミリュー、佐和子「はあはあ」


ヴァンパイア「これは、たまらん!」


(SE:マントが翻る音)


ミリュー「あっ! 飛んで逃げる気ね!」


佐和子「追いかけないと」


ミリュー「飛んでも、あんなにふらふらじゃあ、走っても追いつけるわ!」


(SE:駆ける足音)




■場所:小金井公園■


ミリュー「はあはあ…、結構、走ってきたわね」


祐子「この辺に逃げ込んだようだわ」


佐和子「もう無理、走れないしー」


ミリュー「あっ、あれだわ」


祐子「この棺桶?」


ミリュー「奴は、この中に逃げ込んでいるのよ」


(SE:棺桶をノックする音)


ヴァンパイア「入ってます」


ミリュー「やっぱりね」


祐子「どうするの?」


佐和子「棺桶のままガムテープで、ぐるぐる巻きすればいいんじゃね?」


ミリュー「名案ですね!」


(SE:ガムテープの音)


佐和子「よし、これでもう出てこれないし」


祐子「後は、どうするの?」


佐和子「このまま放置でいいんじゃね?」


ミリュー「ですね」


祐子「いいの?!」


ミリュー「もう遅いから、解散しましょう」


祐子「はあ…」


ミリュー「私と、さわッチは、今夜はこの公園でこの棺桶を監視しながら野宿します」


祐子「はあ…」


佐和子「じゃね」


祐子「じゃあ…」


祐子「(ん! 私、また、この格好のまま電車乗るの?!)」

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