第6話 俺の周りがヤバかった件②

 沙紀は別のクラスなので分かれて、聖馬と共に教室に入った俺は自分の席に座り、隣の席にいるクラスメートへ挨拶をする


「おはよう。影野くん」


「ん、おはよう」


 この人は、影野かげの誠人まことくん。半月前に席替えをした際、隣になった人だ。髪は黒髪で目が隠れるくらい長くて猫背で口数の少なく根暗な印象の子だけど、とても良い人。

 気配りが出来て、優しくて、何でも知ってて、いつも一人でいるがどんな人からも相談を受けている人だ。女子の中ではあの髪の中身はイケメンだ。と噂されていてモテている。


「影野くん、今日はなんの本を読んでいるの?」


「いつものサスペンス小説」


「へぇ~、今日もそれなんだね」


「・・・すきだから」


「そうなん「ヒノモリ!おはようございますですわ!うは!」」


「ちょっとなに抜け駆けしてるのよ!おはよう、日野森くん」


「あ、あぁ、お、おはよう、二人共」


 教室の後ろのドアから勢いよくマリアが登場したと思ったら、そのマリアを蹴飛ばして挨拶する佳鈴かりんに挨拶を交わす。


 蹴飛ばされた金髪縦ロングのお嬢様はマリア・シュバイツローゼ。一か月前に日本へ来たお嬢様だ。そして、同じく一か月前に転校してきた黒緑髪の少女が三野宮みのみや 佳鈴かりん。二人はロンドンからの留学生なのに日本語がペラペラでクラス委員長をしている俺が二人の世話係に任命されたが要らなかった。二人共美少女で学校中からモテる。・・・俺の周りってモテる人ばっかだな。


「ちょっと何をするのですの貴方は!人を蹴飛ばすなど常識がなってませんわ!」


「あら、私には抜け駆けしようとしたメス猿を蹴っただけで、人なんて蹴ってないわ」


 見ての通りとても仲が悪い。何かあればすぐ二人は喧嘩する。そして、何故だか分からないが聖馬にも敵意を少し出している。聖馬も聖馬で二人を敵視しているからもう訳が分からん。生理的に受け付けないとはこういう事を言うのだろうか。


(いえ、二人は魔術師のため能力者である聖馬さんを敵視しているだけです)


 ん?・・・ちょっと待ってくれ。魔術師って誰が?


(そこで喧嘩しているお二人です)


 え~と、喧嘩している二人って言う事はマリアと三野宮の事を言っているのか?


(はい、その通りです。お二方も聖馬さんと同じでレベル30の中級魔術師です。この年で中級とは将来有望です)


 ・・・・・魔術師?マジ?


(マジです。ちなみに言うと、本を読んでいる影野さんは暗殺者です)


 ちょっと待ってくれ!?情報量が多すぎる!?状況が掴めない!?


(マリアさんと佳鈴さんが魔術師で影野さんが暗殺者です。鑑定して調べました。他のクラスメートはいたって普通の高校生です)


 ・・・・・あぁ、俺の周りってこんなにヤバかったんだな。


 俺は二人の喧嘩を横目に思考を放棄しながらそう思うのだった。






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