卒業式

とうとうやってきた。

卒業式。

この学校とも今日でおさらばだ。

そして、先生ともさようなら。

本当にあっという間の3年間だった。

彼氏は出来なかったけど。

素敵な恋をすることが出来た。


「先生、最後に校内まわりましょ」


私たちはいろんな思い出に浸りながらもゆっくりと、そして、確実に1歩1歩歩いている。

そして、この恋に終止符......。


「あっという間だったな。俺の話し相手が居なくなると思うと寂しいな」


少しだけ寂しそうな顔をする先生。

嬉しくて、寂しくて、愛おしい。


「また、私が先生の話し相手として、来てあげますよ」

「たまに遊びに来る程度にしてください」


私はつまらなさそうに返事をした。

次、いつ会えるのか分からない。

もう会えないかもしれない。


「じゃあ、校門まで見送るよ」


先生はそう言って、私の1歩先を歩いている。

本当にこれが最後なんだ。

最初で最後のチャンスなんだ。

連絡先を聞いて、先生に告白して。

私は緊張している。

胸の鼓動が早くなるのを感じる。

いよいよ私、先生に告白するんだ。

叶わないってわかってる。

しちゃいけない禁断の恋かもしれない。

けど、それも今日で終わりだね。

だって、私は先生の生徒じゃないから。

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