少女たちの甘くあわくはかない幻想
- ★★★ Excellent!!!
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中高生の頃。
漠然とではあるが死に仄かな憧憬を抱いていた。
代わり映えのしない毎日が退屈で、
授業も、部活も、放課後に友達と遊ぶにしても、
特別な日などなく、昨日と同じ今日が続いた。
死はその日常を断つための、
不意に思い浮かぶひとつの手段だった。
あの頃の私を振り返ってみると、
余りにナイーブだったように思う。
それでいて、純粋でもあった。
仄かな憧憬を昇華しないまま年を経て、
未だに漠然とながら蠱惑的な死の幻想を垣間見るものの、
当時のような眩いばかりの煌めきは失われていた。
この作品では、
私がすでに失ってしまった、
眩いなにかが描かれている。
いたく懐かしく思う。
純粋で、透明で、冴えわたったあの頃の断片を、
深い記憶の底から呼び起こしてくれた。
興味を持った方は、ぜひとも御一読いただきたく思う。