魔法と宝石が彩る異世界生活

石に触れると硬くて冷たい。
生命力に欠け、無機質だ。
なのに、その光は私たちを魅了してやまない。

古から人々は石の持つ不思議な力に囚われてきた。
時に災禍を引き起こす呪いとして恐れられ、
時に奇跡を生み出す祝福のように信じられてきた。

なぜ人はそれほどまでに、石に惹かれるのだろうか。

その答えの一つが、この小説にはある。



硬質な文体の背後で静かに光る、著者の石に対する情熱。
淡々と語られる言葉の端々に、微かに垣間見える知識。
そうした一つひとつが、石の静謐な美しさを引き出している。

著者の一見して淡白ではあるが、滔々あふれだす石への意志を少しでも覗き見たいと望むものは、ご一読いただければ幸いである。
石に限らず、密やかな情熱を胸に抱くものには、琴線に触れる作品だ。宝石のように透明で澄んだ光が、私たちの目の前を照らしてくれるだろう。