第12話ナチュラルグリル

「彼の持ち株比率を上げようと思っている」

「それより我々の比率を下げようとしているんでしょう」

「あはは、分かってしまったか。

亮にもう少しうちに仕事のウエイトを

上げてもらおうと思っていてね」


「なるほど・・・」

ロイは亮はどこの企業でも引く手数多だと思っていた。

「実はうちも本格的にアジアへの出店と

冷凍食品をやろうと思ってね」

「そうか、冷凍食品工場の拡張ですか」


「うん、セントラルキッチンと冷凍食品は

併用できるからね。亮が考えた真空冷凍

とその時出た窒素を農業に使うそうだ。

詳しくは亮に聞いてくれ」

「なるほどいずれにせよ。亮が収益の要ですね」


~~~~~~~

「食事が終わりましたらバーで待っている」

ホストがジョージのメモを持ってきた。

「シンディ、モニカ、ケイト食事が終わったら

バーで話をしましょう」

「良いけど・・・」

亮はジョージとの仕事を優先した。


「ジャネット、ブルックこれから

僕たち打ち合わせなんだ」

「はい、では明日」

亮は手を上げてチェックの話を

ホストにすると首を振った。


「お支払いはジョージ様からいただいております」

「はい、ありがとう」

亮は三人を連れてバーに行くと

ジョージとロイがお酒を飲んで待っていた。

「ジョージ、色々ありがとう」


「いや、スーパーモデルに会えて嬉しいよ」

ジョージがニコニコ笑っていた。

「ロイ、久しぶりだね」

亮はロイとハグをすると

亮はジョージにシンディ達三人を紹介した。


「こちらがナチュラル・グリルの社長

ジョージ・キャンベルです」

三人は笑顔でジョージと握手をした。

「健康冷凍食品のイメージ広告で

シンディにお願いしたいとお願いします」


「亮の企画書は読んでいます」

「我々が開発している冷凍食品は

無農薬、無添加、低脂肪など体に良い

健康冷凍食品です。

健康的なスタイルを保っている

モデルさんたちが協力してくれれば

イメージアップになります」


「はい、承知いたしました。ジョージ

条件が三つあります」

「なんでしょう」

「1.亮がすべて管理する事」

「もちろんだ」

「2.私だけじゃなくてこの二人と

他のモデルも使ってもらう事」

「うんうん」

「3.そして利益の1部を世界の食糧難で

苦しんでいる

子供たちへの支援をする事」


「もちろんだ、それに関しては亮から聞いている」

「はい、そこに関しては僕の得意分野の種の供給

を考えています」

亮が種の話をした。


「種?」

ジョージが首を傾げた。

「日本の農業は世界でトップレベルです。

貧困の国に単に食べ物を贈るだけではなく

農業支援を考えています」

「あはは、ブロッコリーと同じだな」


※ブロッコリーをリトアニアから

アメリカへ持ち込み広めた人物である

パスクァーレ・デ・チッコの甥が、

007シリーズで知られる

映画プロデューサーの

アルバート・ブロッコリーである。


「はい、そして砂漠化した世界を緑に変えて

 緑が気温を下げるんです」

「わかりました、亮がいる限り私達モデルが協力します」

「それで詳しい契約は・・・」

「それは亮にお任せします」

三人はニコニコ笑っていた。


「わかりました、弁護士に契約書を

作成させます」

「お願いします」

亮が言うと一緒に付いてきたジャネット言った。

「私サンプル欲しいですけど」


「もちろんです試食も来てください」

ジョージがニコニコ笑った。

「はい、行きます」

亮はジョージにジャネットとブルックを紹介し

明日のライブの話をした。


「おお、素晴らしい!」

「ジョージも時間があったら来てください」

「もちろんだ、人は沢山来るのかな」

「はい、500人以上」

「じゃあ、何が配るか・・・」

ジョージは何かを考えていた。


「そういえばグミできていますか?」

亮は世界でも人気のグミの提案をしていた。

「食物繊維グミか」

「はい」

「確かグレープはできているはずだ

ではそれを500個お願いします」


「わかった」

「用意する」

「僕は今から荷物を取ってきます。

では皆さんまた明日」

ジョージは亮にうれしそうに笑った。


亮は通りに出ると美咲に電話をかけた

「今、時間が空きました。会えますか?」

「ホテルの部屋に戻っているわ」

「OKすぐに行きます」

亮がタクシーを拾うおうとして歩くと

二人の男が後ろから声をかけてきた。


「日本人」

その声で亮の背中に寒気が走った

そして背中に硬い物が押し付けられ男たちは丁寧に話した

「そのまま、歩いてもらいましょうか」

亮は男たちにビルの陰に連れて行かれ

ピストルを向けられ壁に押し付けられた

「明日の仕事から手を引いてもらおうか」

「手を引くって僕は何もしていない、唄うのはブルックだ」

「そうか、じゃあもう二度とブルック

の前に現れるな。さもないと殺す」

~~~~~~~~~~~~

シンディたちはまだバーにいて話をしていた

「シンディ、亮が変わったと思わない?」

「はい、さっきも三人で話をしていたのよ」

「そうか、なんだろう」


「私、昔の亮は知らないけど凄く素敵な体だった」

ジャネットが言うと三人がジャネットの顔を見た

「ねえ、体だけ?」

ケイトがジャネット顔を近づけた


「あれは信じられないくらい凄かったわ。

1時間も○れたまま亮はあそこから気が出るんだって」

ジャネットが顔を赤らめてうつむいた

「そんなに凄いの?」

「はい、子宮が爆発しそうだったわ」

シンディがため息をつくと

三人は見詰め合って笑い出した

~~~~~~~~~~~

「嫌です」

亮は手を挙げたまま返事をした

「何だと!」

男の一人が返事をすると

亮は男がピストルを持っていた

右手の手首を持ちそれをひねって

男の後ろに回った。


男はその痛みに耐えかねて前に回って

背中から地面に落ち亮の動きの早さに

もう一人のピストルの狙いが定まらないうちに

亮は倒れた男のみぞおちに全体重をかけて

かかとで踏みつけると

男は口から黄色い胃液を吐き出し、気を失った


「フリーズ」

もう一人の男が2メートルほど離れた

場所からピストルを両手で持ち

狙いを定めて大声で怒鳴った。

「ああ2メートルか、どうしようこの

トムフォードのタキシード汚れそう」


亮は両手を挙げて亮が困った顔をすると

その男は突然後ろから足を蹴り払われ

前に手を着くと男の足を払った足が後頭部を蹴り上げた

男は気を失って倒れた

「おお」


亮は感嘆の声を上げた

「亮、何処へ行っていたのよ」

「あっ、シャオメイ(小妹)」

亮の前に立っていたのは

Gパンに白いトレーナー姿の少女だった


「私ずっと飛行場で待っていたんだからね」

「ごめん、記憶を失っていた」

「マジ?」

「うん、マジ」

亮は飛行場での事件の話をすると小妹が怒った。


「馬鹿じゃない亮、それよりこの

男どうして倒さなかったの?」

「あのさ、このスーツ80万円するんだ」

「ねえ亮、命とスーツどっちが大切なの?」

「あはは、命」

小妹は亮のお腹に突きを入れた。

「痛いなー」

~~~~~~~

3ヶ月前、亮が香港の道場で毎日練習をしていた相手は

趙剛導師の孫の小妹で、劉文明の命令で

亮のガードをするように使さわれたのだった。

「小妹、どうしてここが?」


「色々探したのよ、それで今夜亮がここに来る

 情報が入っていたので待っていたの」

「何処から情報が?」

「王大人から連絡があったし、私のおじいちゃんは

国家安全部の幹部だもの」


「国家安全部?」

「はい、アメリカで言うCIA、イギリスのMI6」

「はいっ?ニューヨークにも諜報部員がいるの?」

「もちろん世界中にいるわ。東京にも」


亮は1月6日の事を思い出した

夜遅く非通知設定の電話がかかって来て女性の声で

「あなたは一文字に命を狙われている、

殺し屋が向かったから気をつけて」

「あなたは?」

「とにかく明日気をつけて・・・」


1月7日の朝

亮は渋谷のマンション前で準備運動を

して走り出すと目の前に

白いスエット着た男に気づいて挨拶をした。

そして後ろから足音が迫ってくるのを感じ

亮がしゃがみこむと

ナイフを持った男の頭が吹き飛び

背中に痛みを感じた


「小妹、ひょっとしたら、あの時電話をくれたのは?」

「私たちは電話をしていないわ」

「そうか・・・」

亮は首をかしげると吹き飛んだ男の頭蓋骨が

飛んだ瞬間を思い出した

「でも、僕の命を助けてくれたのは・・・・」

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